食育だより2020年10月号 秋は新米が美味しい季節。噛む大切さを伝える食育と保育園の人気レシピをご紹介!
鈴虫やコオロギの声が聞こえ、過ごしやすい気温と穏やかな晴天で、秋を感じる季節になりました。この時期は、とれたての新米が出回る時期ですね。新米のおいしさを感じるにはよく噛んで食べることが大切。保育園では日頃から噛むことの大切さを伝えていますが、園児たちの意識を高めてもらい、成長を育むためにはアプローチ方法を変えながら、反復して噛むことの大切さを伝えるようにしています。
今回は、保護者のお悩みの一つ “あまり噛んで食べていない・丸呑みしている” そんな悩みについても、サポートさせていただけるよう、保育園の食育事例やレシピも合わせてお伝えします。
■噛む大切さを伝える保育園の食育を紹介
今回は、「しっかり噛んで食べよう」をテーマに、明日葉全園で展開している「食育キット」を使用した活動をご紹介します。まずは、パペットを使って噛む事の大切さを伝えます。このパペットは、歯が一本ずつ手作りで舌まで動かすことが出来る愛情のこもった優れもの。噛むためには、舌や頬の働きもとても大切になります。
パペットを使用し、噛まずに食べた場合と良く噛んで食べた場合の違いや、噛んで食べるメリットを伝えます。子どもたちは、「よく噛まないと喉に詰まっちゃうんだよね」 「お腹が痛くなるよ」などと、積極的に答えてくれました。食育の中では、私たちの質問に対して“自分で考えて自分の言葉で発言する”ことも大切にしています。
「食育とは心を育てる」との認識のもとに、将来を担う子どもたちの健全な「体」と「心」を育て、園児の食に対する興味を促進するよう日々工夫を凝らしています。
▼【よ~く かんで たべよう!】食育紹介動画
■この時期は新米に注目!
そろそろ新米が出回る時期になりました。こしひかり・あきたこまち・ミルキークイーン・ゆめぴりか…、日本にはたくさんの種類のお米がありますが、収穫の時期により新米の出回る時期も変わります。最も多いのは、9~10月であると言われており、そこから2~3か月が新米と定義されています。お店では、新米の表示がされていますね。 この時期ならではの、新米を美味しく炊くポイントは、以下の通りです。
・正確に分量を量る
・水を加えたら手早く研ぐ
・しっかりと吸水させて水分は古米より少なめに
・蒸らし時間も重要
一般的な炊飯器の場合は、古米に適した水分量が表示されています。新米を炊く時は、水分を少なめにするのがポイントです。研いだ後は、米にしっかり水分を吸収させると芯まで水分が行きわたりふっくらと炊き上がります。また、炊飯したてのご飯は余分な水分を含んでいることがあります。炊飯器にもよりますが、10~20分位蒸らしの時間を取りましょう。
■子どもが噛まずに飲み込んでしまう一因
保育園では、保護者の方から、 “あまり噛んで食べていない・丸呑みしている” などの、相談を受けることもあります。原因の一つに前歯でかじり取ることが苦手で、自分に合った一口の量がわからない事が考えられます。この場合、たくさんの量を口に詰め込んでしまい、口の中がいっぱいでよく噛むことができません。また、食物を口の奥に入れすぎて、そのまま丸呑みしてしまうこともあります。
他の要因としては、虫歯による痛みで噛めない子も見かけます。また生活習慣として、眠気により飲み込めず口に食物を溜めたり、おもちゃやテレビに気を取られて食事が進まない場合も考えられます。
大切なのは、食事の環境を整え、自分でかじりとる力を付けて適切な一口量を知ることです。
【自分でかじり一口の量を知る】保育園 おすすめレシピ
トマトプリッツ
- 材料(5人分)
小麦粉 200g
粉チーズ 20g
ケチャップ 40g
ダイストマト缶 80g
食塩 1g
オリーブ油 20g
- 作り方
1、材料をすべて混ぜます。粉っぽさなくなるまで混ぜてください。
2、麺棒で1を薄く伸ばし、細長く切ります。
3、オーブンを170度に熱し、10~12分焼きます。
(ご家庭のオーブンで温度や焼時間などは調整してください。)
■噛むことのメリット
*唾液や消化液の分泌が増え、食べ物が小さくなり、消化を助ける。
*香り・噛む音・味・食感・料理の見た目など、五感を使って食事を楽しめる。
*薄味でも食べ物本来の味を感じ、濃い味でなくても満足できる味覚が発達する。
*落ち着いた食事時間を持てることで、満腹中枢が刺激され肥満予防になる。
*殺菌効果もある唾液がよく分泌され、虫歯予防の効果がある。
*咀嚼筋をよく使うことで血流が良くなり、脳の発達や顎の発達につながる。
このように、よく噛んで食べることは食事面だけではなく、健康に過ごすために多くの効果を得ることができるのです。
■噛んで食べるために
現代は、昔に比べて麺類やハンバーグなどの柔らかいメニューが多いのも事実です。一口で30回噛むことが推奨されていますが、意識するだけでも噛む回数は増えていきます。また、口の中に次の食べ物を入れる時は「口の中が空になってから」にします。口に残った状況で次の食べ物を入れることにより、急いで飲み込み、噛まずに食べることにつながります。
保育園では、食べ物の大きさや切り方を調整し、大人が一緒によく噛んで食べる姿を見せる工夫をしています。また、噛まずに早く食べてしまうお子さまには、大人がゆっくり噛んで食べるように声をかけます。ご家庭でも、ご家族が噛む姿を見せ、食事の味や香りなどを楽しみながら、お子さまの食べる力を育みたいですね。
【自分でかじり一口の量を知る】保育園 おすすめレシピ
野菜スティック
- 材料(大人2人分)
きゅうり 60g
にんじん 60g
白みそ 20g
さつま芋 60g
だいず水煮 10g
砂糖 5g
だし汁 5g
- 作り方
1、野菜はスティック状に切ります。
2、さつま芋・人参は、お好みの硬さに蒸します。
3、大豆はフードカッターか包丁で刻みます。
4、味噌・砂糖・だし汁と3を入れ弱火でさっと煮ます。
5、野菜に4の大豆味噌ディップを添えて出来上がりです。
大根やアスパラなど、お好みの野菜でアレンジできます。
■噛む食育を実施した際の子どもたちの様子
最後に、パペットで “よく噛む事の大切さ” を聞いた後の様子をお伝えします。今回は、おやつの前に味の無いご飯をしっかり噛んで食べてみました。子どもたちからは、「唾がいっぱい出た」 「ごはんが甘くなった」 「いつものごはんより美味しいね」 などの意見を聞くことが出来ました。そして、お楽しみのおやつはエノキから作った“なめたけおにぎりと昆布”。「よく噛んで唾液だすんだよね~」と言いながら、いつも以上にしっかり噛んで食べる姿が見られました。お米の甘さをしっかり味わい、噛む事の大切さも体感出来たようです。
明日葉保育園では、昼食だけでなくおやつでも「噛む力」を育てるために、昆布や小魚などを定期的に取り入れています。最初は、苦手だった子どもも、成長とともに噛む力が育っていきます。このようにコンセプトに基づいた献立や様々な食育プログラムにより、「食」に対する正しい姿勢や知識を身につけ、明日をたくましく生きる力につながる取り組みを今後も行っていきます。