現場力×学童・児童館

現場力インタビューVol.11「外国語カード」

責任者の米山 哲平さん(写真上段中央)と富士見台小あいキッズの社員のみなさん

現場力作成者:富士見台小学校あいキッズ 責任者 米山 (よねやま)(てっ)(ぺい)さん

ソシオークグループの「現場力」とは
「現場力」とは、フードサービスや子育て支援、運行管理・移動サービスなど現場ではたらくソシオークグループの社員が自ら課題や改善点を見つけ、知恵と工夫によりチームで改善を重ねていく取り組みです。自ら考え実践するナレッジワーカーとしての誇りの醸成や、個人の持続的成長につながるとともに、各現場の意欲向上や組織の活性化にもつながっています。

外国語を母国語とする子どもとのコミュニケーションに困っている――。他事業所からこんな相談を受けた富士見台小あいキッズの責任者・米山 哲平さんは、スタッフ全員と力を合わせ、英語・中国語・日本語の3か国語が記載されたコミュニケーションツール「外国語カード」を作成しました。
「現場力の取り組みがすごく好き」と語り、スタッフ全員で積極的に改善に取り組む米山さんに、詳しくお話を伺いました。

――今回の現場力「外国語カード」について、発想のきっかけを教えてください。

きっかけは、板橋区内で明日葉が運営する学童・児童館を取りまとめているマネージャーから、「板橋区の他の学童施設で、外国語を母国語とする子どもとのコミュニケーションに困っているんだけど、何かできないかな」と相談を受けたことでした。学童には、子どもたちが気持ち良く過ごすためのルールが設けられていますが、その子は日本語が分からないのでうまく理解できず、他の子と違う行動を取ってしまうことがたくさんあったそうです。

そこで、コミュニケーションでよく使う用語をカードにして、英語・中国語・日本語の3か国語の訳と分かりやすいイラストも付いている単語帳のようなものが作れたら、言語が違っても意思疎通ができるようになるのではと考えました。

――制作過程のエピソードについて教えてください。

その施設の責任者に電話して、どんなときに困っているか、どのようなものを必要としているかを直接聞きました。それを基にうちのスタッフ全員が、自発的にカードを作り始めてくれました。

パートナーさんに英語が得意な方と、中国籍の方がいましたので、その方たちに英語と中国語の翻訳をお願いしました。

――カードは何枚あるのでしょうか?

100枚ほどあります。スタッフが100通りの言葉を考えてくれて、挨拶やルールだけでなく、子どもが施設に入室してから帰宅するまでの流れや感情表現など、かなり細かく想定して作ってくれました。項目は、使いやすいようにシチュエーションで分けています。

――完成したカードを提供した学童からは、どのような反応がありましたか?

その学童の責任者から、「活用させていただいています」とお礼の電話をいただきました。あと、外国語カードの存在を知った他の事業所からも「うちにも欲しい」というお言葉をいただいたんです。その言葉を受け、他の事業所でも活用できるように、本部社員がオンラインで外国語カードのデータを配布してくれました。

嬉しいですよね。うちのスタッフみんなにも、改めて感謝しました。

――富士見台小あいキッズでは、このカードを活用されていますか?

現在富士見台小あいキッズには外国語を母国語とする子どもがいないので、外国語カードはまだ使用していません。

ただ、子どもたちは昨年のオリンピックをきっかけに世界のことに興味を持ち始めています。

そこで、外国語カードを拡大して教室の壁に貼り出してみました。日本語で馴染みの深い言葉が外国語ではこう書かれるのかと、子どもたちも興味をもってくれています。

室内に貼り出されたカード。避難訓練標語「お(押さない)・か(駆けない)・し(しゃべらない)・も(戻らない)」

――今後、富士見台小あいキッズで外国語カードを活用される予定はありますか?

2022年度に新しく入ってくる子どものお母さんで英語を話す方がいらっしゃるので、その時にこのカードを使ってみようと考えています。

先日、そのお母さんが利用申請に来られたのですが、言葉が通じなくてパニックになってしまって、涙を出していたんです。それを見たとき、子どもだけじゃなく保護者様の支援も僕たちの仕事であることを改めて認識しました。保護者様対応版の外国語カードも作れたらいいなと思っています。

今あるカードも、いざ使ってみて足りない言葉があったり、もっと良い表現方法があったりしたら、どんどんアップデートしていければと考えています。

――富士見台小あいキッズでの現場力の取り組みの様子について教えてください。

富士見台小あいキッズは、「業務の中で、こういうことを変えたい」と気軽に言える環境です。本人が変えたいと思ったものに対しては、僕も「じゃあ1回やってみよう」と、基本的にゴーサインを出すようにしています。それを現場力としてレポートにまとめて本社へ提出すると、みんなのモチベーションが上がるんですよ。

今回の外国語カードの現場力もきっかけになり、「私はこういうことを現場力としてやりたいです」と自発的に言ってくれるスタッフがすごく増えました。

――みなさんに現場力に取り組んでもらうために、心がけていることはありますか?

スタッフ一人一人が本当に子どもたちのことを考えています。僕はそれを形にするきっかけを提供しようと思っていて、「現場力=子どもたちのためになる」「子どもたちのためにと思っているならやってみようよ」っていう声掛けをしてきました。みんなが現場力に積極的に取り組んでくれることは、やっぱり僕も嬉しいんですよ。

――今回は他の事業所の課題を解決した取り組みでしたが、普段から事業所間でのコミュニケーションは頻繁に行われているのでしょうか。

はい。明日葉が運営する板橋区内の事業所同士で、完成した現場力レポートをメールで共有しています。それを見て、いいなと思ったら自分の事業所で取り入れることもあります。うちでも、他の事業所が考えた、「正しいマスクの付け方をポスターにして、子どもたちに周知する」という現場力を取り入れたことがあります。マスクの付け方は学校側でも課題になっていたことだったので、校長先生にも喜んでいただけました。

事業所間のつながりが非常に強いなと感じますし、他の事業所の現場力を見るのは僕としても楽しいです。

――事業所内では、普段スタッフ同士でどのようにコミュニケーションを取っていますか?

責任者として、必ず出勤しているスタッフ一人一人と話す時間を取るようにしています。僕は本当に話すのが好きなので、ときには仕事と関係ないことも話しますが、コミュニケーションを密に取ることで、スタッフとの信頼関係が築けていると感じます。

あとは、話しかけづらい雰囲気を作らない。例えば自分が忙しいときに相談の電話を受けたとしても、喜んで対応するということは意識しています。

――今後、どのような現場を目指していきたいか教えてください。

4月からは新卒社員が2名入ったので、現場力を一から教えて、夏頃までには自分で現場力を考えられるようにしていけたらなと思います。

子どもの登録人数も、特に1年生の数がすごく増えたので、新1年生が不安にならないように、小さな気づきから、現場力として改善していければなと思っています。

――今回のインタビューや現場力に関して、〆の一言があればお願いします。

現場力は、「子どもたちのために現場を変えている」っていう気持ちがあればできるもの。責任者の僕がそういう想いを持って楽しく取り組んでいれば、他のスタッフもそう思ってくれるようになるし、子どもたちにも伝わるのではないかなと思います。