あしたばマインドは、2020年8月よりオリジナルの食育企画「みらいエナジー」をスタートしました。今回は企画原案者に「みらいエナジー」の誕生秘話を語ってもらいました。
みらいエナジー原案者 高澤 緑さん
みらいエナジーとは
あしたばマインドが制作したオリジナルキャラクターを使った様々な食育企画です。保育園の給食で提供する食材をベースに、オリジナルキャラクターを作成しました。あしたばマインドの運営する明日葉保育園各園では、そのオリジナルキャラクターを用いたぬりえやペープサート劇、おはし練習キッドの作成など、幅広い企画を展開しています。
子どもたちに親しみやすく、かつ、わかりやすく、食材の特徴や栄養を伝えていくことを目的とした食育企画です。
「みらいエナジー」の原案者は、明日葉保育園青葉台園の栄養士、高澤 緑さんです。
どのようにしてこの企画が生まれたのか、お話を聞かせてもらいました。
「みらいエナジー」誕生のきっかけを教えてください
私は明日葉保育園の立ち上げ1年目から給食業務に携わり、今年で9年目になります。明日葉保育園の食事の年間目標として、「①みんなで楽しくたべる ②好きなものを増やしていく③食事のマナーをみにつける」としています。
特に「②の好きなもの増やしていく」という目標。昔は好き嫌いをなくすというのが目標でした。しかし、大人でも嫌いな食べ物はあるのに、子どもたちだけ嫌いなものを無くすのを目標にするのはどうなのかという疑問を感じるようになり、ならば、おいしく食べられるもの、好きなものを増やしていけば、食事がたのしい時間になるのではないかと考え、数年前から、好きなものを増やしていく事に目標を変更しました。
園では、クッキングや栽培、リクエスト献立、いろんな食育の取り組みをしました。食べたいもの、好きなものを、たくさん想像し、さらに好きになり、子どもたちはいろいろな食材を食べられるようになってきました。
しかし、どうしても、野菜をほとんど食べない男の子がいました。お腹がすいていても、野菜どころか、食事すべてに、手をつけないこともありました。そのため、食べられるもの、好きなものが増えることはありませんでした。
食べること=生きることです。これから少しでもこの子にとって、食べることが、楽しい時間になるように、なにかできないかと考えました。
その時ふと思い出したのが、その子が、戦隊やヒーロー、ドラえもんやポケモンを大好きだったこと。野菜は、その子にとって、ヒーローや助けてくれる味方なのだと伝えられたらいいなと思ました。そんなことを考えている中で、「みらいエナジー」は生まれました。
なぜ「みらいエナジー」と名付けたのですか?
今食べる食材の栄養が成長へとつながる、子どもたちの未来の力になるということで、
「みらいエナジー」と名付けました。
「みらいエナジー」作成時の苦労を教えて下さい
私は、イラストを描くのが得意ではないし、趣味などにしているわけでもありません。
ただ、この男の子が、少しでも興味を持ってくれたらと思い、描き始めました。
はじめは男の子向けのヒーローキャラクターばかり。でも、ほかの子どもたちの喜ぶ顔もみたい。0歳の子どもから5歳の子どもまで、親しんで欲しい。女の子でも男の子でも食材を大好きになってほしいと思い、妖精や、マジシャン、男爵、着物を着た和風のヒーローなど、年齢性別問わず多くの子どもたちが喜ぶ姿を思い浮かべながら、たくさんのキャラクターを作成しました。
「みらいエナジー」はどのように活用されているのでしょうか
左:ぬりえの様子 右:みらいエナジー紹介動画視聴の様子
明日葉保育園では、みらいエナジーのパネル、ぬりえ、クイズ、間違い探し、お話の動画、パペット(ぬいぐるみ)を用意しています。好きな時に子どもたちが遊べたり、目にしたりできるようにしています。
その他に、絵合わせパズルや箸の練習キット、みらいエナジーの歌、ランチョンマットなど、活用方法は多岐にわたっています。
野菜がきらいな男の子の、その後の様子を教えて下さい
給食シール
園の子どもたちは、パネルを貼ると興味しんしん。パペットや動画を見ると、『リコペンちゃん元気?』『なすにんちゃんかわいいね!』とキャラクターの名前もすっかり憶えてしまいました。
『この子にはどんな栄養があるの?』と聞いてくる子どももいます。
みらいエナジー発足のきっかけとなった野菜が嫌いな男の子ですが、最初はまったく興味を示しませんでした。でも、パペットをクラスに置くようになると、気になる存在になったみたい。ただ、そこからはなかなか進展しない様子でした。
そこで、もっとみらいエナジーを知ってもらいたいと思い、みらいエナジーにいるキャラクターの野菜が給食に入っていた場合、その野菜を一口でも食べられたら、食べた野菜のキャラクターシールを貼る「給食シール」というミニ企画をスタートしました。毎月表裏で合計18マスあるシール台紙を配布し、全部埋められたら、豪華なキラキラシールを別紙の「きらきらしーるちょう」に貼ることができるというものです。
みらいエナジーの野菜は、毎日給食に入っているわけではありません。だから、男の子はまず給食を確認するようになりました。みんながどんどんシールを貼っている姿をみると、男の子もとてもうらやましくなったようで、まずは一口食べるように。一口食べたら、思ったより、おいしいときもあります。そこからは少しずつ、いろんな野菜が食べられるようになりました。最近では、全部食べられると、『おいしかったよ!』と報告にきてくれます。
みらいエナジーはちょっとしたきっかけだったのかもしれません。しかし、その男の子にとっては大きなきっかけになりました。男の子は、今では、残すこともたまにはあるけれど、いろいろな野菜をもりもり食べられるようになりました。
最後にみらいエナジーにかける想いを教えてください
コロナ禍の今、クッキングだったり、食材にふれる機会だったりといった、今までのような食育がなかなかできなくなっています。子どもたちに会いに行く機会も、以前よりも減ってしまっています。そんな中、生まれたみらいエナジー。子どもたちに伝えたい思いが、キャラクターに乗り移り、活躍してくれています。子どもたちも大好きになってくれています。
子どもたちの輝かしい未来の、手助けになっていたら、本当にうれしいです。
これからもあしたばマインドは子どもたちの食を通じた健やかな成長のために、様々な食育活動を行ってまいります。