――藤田チーフのこれまでのキャリアを教えてください。
給食の仕事は、市の非常勤職員としてスタートしました。その後、他の給食会社を経て、葉隠勇進に入社して8年目になります。給食の仕事に携わるのは、今年で25年目です。
――責任者として、普段心掛けていることはありますか?
一番大事にしているのはコミュニケーションです。社員やパートナーさん、みんなの話をしっかり聴くことはとても大事だと思っています。何でも言ってもらえるように「聴く耳」をいつもオープンにして、もし少しでもモヤモヤした気持ちを持っている人がいれば、それを聴いて一緒に考えます。なるべく大きな不満に育たないうちに解決出来ればなと思っています。
――コミュニケーションを取る上で意識していることはありますか?
今の現場を受託したときに、私は他の現場からチーフとして異動してきたのですが、すでにメンバーたちは業務をとてもスムーズにこなしていました。そんな中で、自分をどうやって受け入れてもらえるかが課題でした。特にコロナ禍で、黙食や距離を取っての会話しかできなかったので、全員とうまくコミュニケーションを取るにはどうすればいいか、常に考えていました。
まずは、私自身がどんな人間なのかを知ってもらうため、自己開示をするよう心掛けました。また、シフト制で全員がいつも揃うわけではないので、「知らなかった」「聞いていない」と言われないように「連絡ノート」を作り、情報共有を徹底しました。今では、ささいな変更でも「忘れるからノートに書いてください」と言われるようになり、この仕組みがすっかり定着しています。
――社員の年次や経験によって、コミュニケーションの取り方に違いはありますか?
ベテランの社員からも、新しく入ったパートナーさんからも、それぞれの視点で学ぶことがたくさんあります。業務に限らず、普段から何でも話せる関係でいることで、例えば学校や保護者の今の状況を知ることができたり、若い世代のパートナーさんと話すことで新鮮な発見があったりします。
職歴では私が一番長いですが、謙虚な気持ちは常に忘れないように心掛けています。怖がられて声をかけてもらえないより、「チーフ、帽子から髪の毛が少し出ていますよ」と、身だしなみチェックのときに気軽に指摘してもらえるような関係のほうが、ずっと働きやすいですし、私にとってもありがたいです。
――チームを活性化させるために意識していることはありますか?
「こうしたらどうかな」と意見が出たら、まずはみんなで話し合って、とりあえずやってみることです。うまくいかなかったら「ダメだったね」って笑って元に戻せばいいんです。「失敗だった」ではなく「今までの方法が良かったんだと気付けたね」と。そうすることで、意見が出しやすい雰囲気が生まれ、チーム全体の活性化につながります。もちろん却下することもありますが、自分の頭の固さにハッとすることもあります(笑)。
――チームにとって「現場力」とは何ですか?
最初は「現場力?それ何?」という反応でしたが、チームのメンバーはみんな前向きなので、少しずつ浸透していきました。そして昨年度は、葉隠勇進の社長賞もいただきました。今では「現場力」は「活力」であり、チームにとって「日常」の一部になっています。
――現場力を通して、どのような変化がありましたか?
もともと柔軟な考えを持ったメンバーが多く、私が赴任してきたときにも、すでにあちこちで工夫されている様子が見られました。日々のそうした工夫をレポートとしてまとめて提出していき、それが社長賞を受賞して、社長と記念写真を撮っていただいたことで、現場力がより身近なものになりました。今では「これ、現場力じゃない?」というワードが自然にチーム内で飛び交うようになりました。
――責任者に必要なスキルや能力は何だと思いますか?
これまで、さまざまなタイプの責任者の方と一緒に仕事をさせていただきました。皆さんそれぞれに「すごいなあ」と思うところがある一方で、「私はあんな風にはなれない」と悩んだこともありました。
今は「自分なりの責任者になればいい」と思っています。「責任者になる」というよりも、「責任者として育ててもらった」という感覚です。私なりの心持ちをあえて言うなら、漫然と仕事をしない、反省をする、次に生かすということでしょうか。
――クレドの「7つの行動指針」の中で、特に大事にしていることは何ですか?
3の「ATM&2P」です。
学校給食はチームプレーなので、お互いを認め合い、否定せず、良好な人間関係を築いていくことがとても大切だと思っています。みんなに「このままずっとここで働きたい」と思ってもらえる職場であり続けたいですね。楽しく、仲良く作らないと給食はおいしくできない、これは絶対です。
――仕事における誇りと情熱を教えてください。
「今日よりもっと美味しく作りたい!」と、常に満足せずに、より良くしていく気持ちを忘れないように心がけています。
――これから責任者を目指す人に向けて、メッセージをお願いします。
人と比べるのではなく、自分なりの目標を持って前向きに進んでください。
無理しなくていい、少しずつでいい、自分にしかなれない責任者になればいいと思います。何より自分が楽しく、ずっと働きたいと思えるような現場を目指してください。