ハートコーポレイション・明日葉

【Special Talk】リプロネクスト×ハートコーポレイション×明日葉
~教室の中で世界を体験!メタバースが広げる新しい英語教育の可能性~

左からハートコーポレイション ヘレナさん、八木橋さん、リプロネクスト 藤田さん、明日葉 平野さん

「教室の中で、まるで海外旅行をしているような体験ができるとしたら?」
メタバースを活用した英語教育が、こどもたちの学びの場を大きく変えようとしています。
渋谷区の小学校で行われたメタバース英会話授業では、こどもたちがアバターを通じてのびのびと英語を話し、リアルな疑似体験を楽しむ姿が印象的でした。

今回の対談では、メタバース空間を開発するリプロネクスト、学校にALT(外国語指導助手)を派遣するハートコーポレイション、放課後児童クラブを運営する明日葉の3社が集結。メタバースがもたらす新しい英語教育の可能性や、次回の授業で挑戦したいアイデアについて語り合いました。


<対談パネリスト>

株式会社リプロネクスト 代表取締役 藤田さん

2017年に株式会社リプロネクストを創業。「社会に最も貢献できる技術とは何か」を模索する中で、人口減少が進む地域の課題に着目。距離をなくすビジネスの必要性を感じ、VR・メタバースの事業を展開。現在は、教育分野を含むさまざまな分野でメタバースを活用し、新たな価値を創出している。


株式会社ハートコーポレイション 東日本運営部 チームリーダー 八木橋さん

入社5年目で、授業のサポートや企画提案を行うコーディネーターとして活躍。学校現場のニーズに応じた柔軟な提案を行い、教育委員会・学校・ALTをつなぐ架け橋となって日々奮闘している。今回のメタバース授業の企画にも深く関わり、教育現場に新しい風を吹き込む役割を担う。


株式会社ハートコーポレイション リクルーター・ALT ヘレナさん

韓国出身で、4年間ALTとして日本の小学校で英語教育に携わり、昨年4月からALTの採用や育成を行うリクルーターとして活躍。こどもたちの学びも積極的にサポートし、渋谷区の小学校で行われたメタバース英会話授業では、メタバース空間でこどもたちとコミュニケーションを取るALTして参加。


<進行>

株式会社明日葉 インキュベーション事業部 部長 平野さん

教育業界で主に英語教育に携わった後、明日葉に入社。インキュベーション事業部を立ち上げ、卵を孵化させるように新しいアイデアを形にすることを目指す。今回のプロジェクトでは、明日葉の全国的なネットワークを活かし、メタバースを通じた新たな教育の形を模索している。


対面のプレッシャーがなくなり、こどもたちがのびのび話せる場に

平野さん

昨年12月、渋谷区の小学校でメタバース空間を活用した英語の授業を行いました。こどもたちや先生方から大きな反響がありましたが、皆さんはどのように感じましたか?


八木橋さん

私も授業のサポートに入りましたが、こどもたちがメタバース空間を楽しんでいる様子が印象的でした。普段の授業とは違い、ゲーム感覚で参加できることが集中力につながったのかなと。あとはアバターを使って会話するので、直接顔を合わせなくて良いからか、発言量も多かったですね。


ヘレナさん

顔を見ながら話すと、最初は恥ずかしがって発言をためらう子も多いのですが、メタバース空間ではどんどん発言していましたね。シャイな子にとって、コミュニケーションの最初のステップとして良いなと思いました。


藤田さん

対面だと、表情や発音など多くの情報が一度に入ってくるので、「相手は今どう思っているのだろう?」と考えすぎて、発言をためらってしまうこともありますよね。メタバース空間では、そうしたプレッシャーが軽減されます。


渋谷区でのメタバース英会話授業の様子

平野さん

確かに、いきなり「今から英語で話しましょう!」と言われたら、私たち大人でも恥ずかしいし、言葉が出てこないと思うんです(笑)
でも、メタバースだと「ちょっと間違ってもいいから話してみようかな」という気持ちになれる気がしますね。


ヘレナさん

そうなんです。こどもたちが「間違ったらどうしよう」「文法が合っているか心配」と発言をためらうのは当然なんですよね。
ただALTは、知っている単語を少しでも話してくれれば、それを拾って会話をつなげていくことができるんです。
最初の一歩を踏み出してくれれば、ALTがしっかりサポートして、こどもたちは自分の力をどんどん発揮できるようになると思います。


藤田さん

メタバース空間で英語を話して、それが伝わったという成功体験が、実際に顔を合わせて外国の方とコミュニケーションをするステップにもなりますね。


八木橋さん

1回きりで終わらせず、定期的に実施できるのが理想です。例えば、「今学期はメタバース授業を何回行う」と目標を立てれば、次のメタバースでもっと話せるように、日々の授業でしっかり英語を覚えようという意識が、こどもたちの中でも高まると思います。


ALTと一対一の会話で、実践的な力を身に付ける


平野さん

ハートコーポレイションでは「オンラインブレンディッド」というオンラインを活用した授業も行っていますよね。


八木橋さん

はい。通常の授業では、クラスの先生から習った英語表現をこども同士で練習しますが、「オンラインブレンディッド」ではオンラインを通じて、ALTと一対一で実践的な会話を行います。

その後、授業に戻ってALTとのコミュニケーションの中で分からなかった言葉や表現を振り返り、再びオンラインに戻ってリベンジする、という流れです。対面とオンラインを行き来することで、こどもたちの発話量を増やしながら、確実に力をつけていくことができます。


平野さん

私も以前、小学生に英語を教えていた経験がありますが、通常の授業ではインプットが中心で、アウトプットの機会が少ないと感じていました。メタバースや「オンラインブレンディッド」を活用することで、こうした課題を解決できるのは素晴らしいですね。


教科書の学びをリアルな体験に変えるメタバースの力

フードコートを再現したメタバース空間

八木橋さん

教科書に沿って授業を進めていく中で、こどもたちがリアリティを持ちづらいシチュエーションって出てくるんですよ。学校の先生方もそれを課題に感じているようです。


例えば、留学先でのコミュニケーションとか。こども同士でホームステイ先での会話を練習しても、どうしてもリアリティに欠けてしまいますよね。でも、メタバースでホームステイ先の部屋を再現し、ホストマザー役のALTと会話することで、「留学先で英語を話したら伝わった!」という疑似体験ができます。

こうした体験をどれだけ積み重ねられるかが、英語で自信を持ってコミュニケーションするうえでとても大切だと思います。


藤田さん

そういった意味では、さまざまな空間が作れるメタバースにはたくさんの可能性がありますね!


八木橋さん

理想としては、教科書の単元ごとにメタバース空間を用意し、授業で練習した後にメタバースのよりリアルな空間で実践するという繰り返しができるといいですね。


次回はミッションを通じて「英語の必要性」を感じてほしい


平野さん

次回のメタバース英会話授業では、どのようなことをやりたいと考えていますか?


八木橋さん

今回は空港の出発ロビーを舞台に、観光案内所での会話やフードコートでの買い物を体験してもらいました。次回は、こどもたちが楽しめるようなミッションを設けたいですね。例えば、「乗り継ぎする飛行機の情報を、掲示板を見たり、人に聞いたりしながら時間内に入手しよう!」みたいな。


藤田さん

それは面白いですね!


八木橋さん

私自身が海外で飛行機の乗り継ぎをしたとき、必死で掲示板を見て、人に聞いて、ようやく正しい飛行機に時間内に乗れたという実体験があって。

そのときに「英語が喋れないと困るな」と強く実感したんです。そういったヒヤヒヤした体験をミッションによって再現できたら、こどもたちにも英語を学ぶ意義を実感してもらえるんじゃないかなと思います。


全国のこどもたちに届けたいメタバースの可能性

平野さん

ソシオークグループでは、アンフープという会社がオンライン英会話レッスン「hanaso」を運営していますが、これもメタバースと組み合わせたら面白そうですね。


藤田さん

うちの5歳のこどもも英会話スクールに通っています。小さな子たちにとっては英語の学力を上げるというよりも、英語を楽しむことや耳を慣らすことが重要だと思うんですよね。

なので、対面だけではなくいろんな選択肢があるといいなと思います。


平野さん

対面やオンラインで英会話を学びつつ、いつでもログインできるメタバース空間で、自由に英語を話せる環境があれば、もっと気軽に英語を実践できるようになりますね。



藤田さん

全国のこどもたちにメタバースを活用してもらいたいですね。特に人口が少ない地域のこどもたちにとって、メタバースにログインしてさまざまな人とコミュニケーションをすることは、多様な価値観や選択肢を知るきっかけになると思うんです。


平野さん

明日葉は全国で放課後児童クラブを運営しているので、メタバースを全国のこどもたちに広げる活動も一緒にできると思います。ぜひ一緒に取り組んでいきましょう!