現場力×学童・児童館

こどもたちの心をつかむ!児童館スタッフのワクワクする企画術とは

(前列左が阿部さん、後列右が坂元さん)

現場力作成者:株式会社明日葉 清瀬市中央児童館 阿部(あべ) 和樹(かずき)館長、坂元(さかもと) 恵子(けいこ)さん

ソシオークグループの「現場力」とは
「現場力」とは、フードサービスや子育て支援、運行管理・移動サービスなど現場ではたらくソシオークグループの社員が自ら課題や改善点を見つけ、知恵と工夫によりチームで改善を重ねていく取り組みです。自ら考え実践するナレッジワーカーとしての誇りの醸成や、個人の持続的成長につながるとともに、各現場の意欲向上や組織の活性化にもつながっています。

児童館で行われているサーキット遊びをきっかけに生まれた今回の現場力。“こどもたちにもっと楽しんでもらいたい!”という想いから、年間を通してテーマを決め、連続ドラマのように展開していくプログラムを企画しました。テーマは「忍者修行」から始まり、現在は「探検物語」に挑戦中。「スタッフもワクワクしながら新しいことを考えている」と笑顔で話し、改善へのポジティブなパワーがあふれる児童館スタッフの坂元さんと館長の阿部さんにお話を伺いました。


――今回の現場力は、児童館で行っているサーキット遊びから始まったんですよね。

坂元 恵子さん(以下敬称略):そうなんです。当館では月に1回ほど、2、3歳のこどもたちに向けてサーキットプログラムを実施しています。歩けるようになった子たちが、保護者様と一緒に大きなマットの上に乗ったり、平均台の上を歩いたりしながら体を動かすことを楽しみます。平日に実施していますが、毎回親子合わせて60人ほど集まる人気プログラムなんですよ。

――そこから現場力が生まれたきっかけは、どういったものだったのでしょう?

坂元:私たちは体操の専門家ではないので、マットや跳び箱の指導をすることは難しい。でも、“こどもたちに楽しんでもらいたい!”という気持ちは強かったんです。そこで、年間を通して何か1つテーマを決めて、そこから各プログラムの内容を企画していったら面白いんじゃないかと思いました。

――そのテーマが「忍者修行」だったんですね!

坂元:そうです。テーマを「忍者修行」と決めたら、アイデアがどんどん湧いてきたんです。「こどもたちには、この体の動きを忍術に見立ててやってもらおう」とか、「忍者の変装グッズを作ろう」とか…。そのうちに、毎回のプログラムをシリーズ化して、連続ドラマのようにつながったストーリー展開を考えたら面白いんじゃないかと思いました。私、テレビの刑事ドラマシリーズが大好きなんですよね(笑)。

佐野さん・龍山さん・坂元さん

――アイデアが素晴らしいですね。プログラム当日の様子はどうでしたか?

坂元:当日は、こどもたちもスタッフも、みんな忍者に変装しました。手先の器用なスタッフの佐野さんと龍山さんが衣装を作ってくれて。当日は、3人で長老と忍者になりきって、こどもたちにミッションを与えました。例えば、サーキット内に滝に見立てたアトラクションを作って、今日は滝修行だよと伝えたりしました。

――すごく楽しそうです!

坂元:企画する私たちも楽しんでいるんですよね。年度が終わる3月には、忍者修行の修了書を渡し、手裏剣などの忍者グッズも一通りこどもたちにプレゼントしました。こどもたちはすごく喜んでくれたみたいで、最近保護者の方から「いただいたグッズ、まだ家で使っているんですよ」と言っていただきました。

忍者グッズ

――今年度からはseason2が始まり、「探検物語」になっていると聞きました。

坂元:そうなんです。「探検物語」第1話はジャングルでバードウォッチング、第2話はアマゾンのワニがいる川でバナナ狩り、第3話は洞窟を探検して宝物を探そう…みたいな感じでやっています。マットや跳び箱と、手作りの大道具・小道具を使いながら、サーキットコースを作っています。

探検物語の様子

――阿部館長から見て、今回の取り組みはいかがでしたか?

阿部 和樹館長(以下敬称略):スタッフ自身が楽しみながら、色々な角度から工夫を凝らしてくれています。それが保護者様にも伝わって、とても良い相乗効果が出ていると思っています。私からは特に指示を出したりしていないですが、スタッフみんな色んな所に着目して、よくやってくれているなと思います。

――普段の現場力の取り組みはいかがでしょうか?

坂元:「この児童館で何か楽しいことやろうよ」とか、「こうした方が安全じゃない?」とか、「この方が合理的で使いやすいよね」とか、日々そういうことを考えながら仕事していたら、それが現場力になっていたという感じですね。

阿部:私の方からスタッフの皆さんには「振り返りをしましょう」と伝えています。現状にとどまるのではなく、一つ一つみんなで確認しあって、改善できるところはあるのかないのか、あるとしたらどこにアプローチをかけて改善していくのがいいのかを考えていきます。それは行事だけではなく、施設の管理など全てのことに当てはまりますね。皆さんそれを自然にやってくれているので助かっています。

――現場力に取り組むにあたって大切にしていることは何ですか?

阿部:改善のアイデア出しって結構難しいのかなと思っていて。それを可能にするには、色んなところにアンテナをはって、色んな所から自分の中に吸収して落とし込んでいくことが必要なのかなと。すると、「ああ、こことここが繋がるから、こういう風に改善しようか」といったものが見えてくると思うんですよね。

坂元:何をやるにしても、ちょっと想像力を膨らませて、相手目線で見て「これは楽しいかな」とか、「こういうことやったら危ないんじゃないか」とか、もう全てが想像力ですね。企画を考えるときも、相手目線での想像力を大切にしています。新しい企画についてはもっぱら、“楽しくワクワクするようなものを”って考えていますね。