明日葉

何かを選ぶとき、あえて厳しい方に挑戦する
明日葉 学童クラブ施設長
島﨑 竜一さん
~輝く社員に聞く活躍のヒント~

――島﨑さんのこれまでのキャリアを教えてください。

新卒で明日葉に入社し、4年目となります。最初に配属された施設で2年間経験を積み、昨年度から今の施設に責任者として異動をしました。

――島﨑さんは1年目のときから、「早い段階で責任者に挑戦したい」と希望していたと聞きました。
なぜ早くから責任者になりたいと考えたのですか?

自分の元々の性格が、お恥ずかしながら、何かを選択するときに全部楽な方を選ぶタイプだったんです。
でも社会人になって、それを続けていくのは良くないと思っていたので。何かを選ぶときにあえて厳しい方、難しい方に挑戦することを意識してきました。その方が後悔がないと思っています。

――業務を進める中で、責任者として心掛けていることはありますか?

自分が知らない業務を人にお願いすることがないよう、まずは自分がやってみることを心掛けています。
また、自分が「居ないといけない」施設にはならないよう、業務を誰でもできるように仕組み化したり、一緒に働くメンバーに適度に任せたりするようにしています。

――現場のメンバーをまとめるために心掛けていることはありますか?

働いている人たちが楽しめる環境を作ることが一番だと思っています。
今年度の始め、事情があって現場の環境が変わり、パートナーさんたちの疲れがたまっているように見えました。大変なことも多いけど、せめて笑いながら楽しく仕事できるようにしたいなと思って、こどもと一緒に遊んでいるときにパートナーさんたちも誘ったり、イベントに一緒に入ってもらって盛り上がったりして、楽しい雰囲気を作るよう心掛けました。

――新入社員とベテラン社員で、コミュニケーションを取るときに意識していることはありますか?

新入社員に対しては特に、自分の姿がそのまま吸収されていくんだという意識を持ち、見本となれるように心掛けていました。ただ、自分のやり方が正解ではなく、さまざまな角度、視点から見て考えてほしいということも伝えました。

年齢や経験が上の社員に対しては、既にその方が持っている価値観と、自分の価値観をすり合わせることが大切だと感じています。毎日こどもたちが来る前の午前中に、昨日の運営の振り返りをして、そのときにしっかり話し合いをするよう心掛けています。

あとは全員に対して、仕事以外の話もするようにしています。異動当初は年上のパートナーさんが多くて緊張したのですが、今は冗談が言い合えるような関係になってきたので、自分も働きやすいなと思っています。

――価値観のすり合わせが上手くいかないときはどうしていますか?

正解不正解がないから難しいんですよね。
2つの案が出て、もし決まらなかったら、とりあえず片方の案をやってみる。上手くいったらそれでいいし、上手くいかなかったらもう一つのやり方を試してみましょう、と進めています。自分は結構何でもやってみようと思うタイプなので、ずっと悩んでいるくらいだったら1回やってみようとします。

――責任者に必要な能力って何だと思いますか?

責任感と決断力です。
トラブル対応、怪我対応、児童の対応方針、運営方法など、日々いろいろなことを瞬時に判断して、決断する場面が訪れます。現場のメンバーの意見を聞いたり、実際に対応をしてもらったりすることももちろんありますが、最終的に決断を下して責任を負うのが責任者です。そこから逃げずに向かう姿勢は、責任者となるうえで必要だと思います。

――決断力を身に付けるにはどうしたらいいですか?

自分も日々難しいなと思っていて。もともとは、話をしているときは人に合わせてしまうし、断れない性格でした。でも責任者の立場でそれをやってしまうと、一緒に働いているメンバーが大変な思いをしたり、こどもたちに迷惑がかかったりする。なので、ある程度“ここから先は譲れないライン”というのを考えて、それをもとに決断し、意見を言うべきところはしっかり意見を言うことを意識しています。その場の思い付きで判断できる内容でないことが多いので、事前に“ライン”を考え、それに従って決断しています。

――何を軸にラインを考えていますか?

こどもですね。
こどもにとって不利益にならないか、あとは安全安心かというのが大前提です。

――島﨑さんにとって「現場力」とは何ですか?

利用者、働く人、全員で、日々考えていくものです。
社員が考えればいいものではなく、実際にその場にいる全員で考え、日々改善を積み重ねることでより良い施設となります。何となく発された「声」を逃さずに、改善へ結び付けていくことが大切だと思います。

――現場力に取り組むことで、現場のメンバーにはどのような変化がありましたか?

「どうしたらいいのか」と悩んでいたものが、一つの工夫で目に見えるほど改善されることもあり、「さらに良くするためにはどうしたらいいのか」まで考えるようになりました。はじめはミーティングで、課題に対して解決策が見当たらず意見が出なかったような内容でも、一度試しに行動してみることで、「次はこうしたらいいのではないか」「こういう考えもあるよね」と、より発展した意見が多く出るようになりました。

――クレドの「7つの行動指針」の中で、島﨑さんが思う特に大切な行動を教えてください。

5のホスピタリティです。
学校、地域、児童、保護者、同僚など、さまざまな人たちと関わる仕事です。そのすべてに対して誠実である必要があります。児童に対しても「こどもだから」と接するのではなく、「一人の人間」として、真摯に向き合うことが大切だと思います。

――こどもへの向き合い方として、例えばどのような声かけをしていますか?

例えば何かトラブルがあってスケジュールが後ろ倒しになってしまい、こどもたちから「まだ?」と言われたとき、「待ってって言ったでしょ!」などと言うのではなく、「ごめんね、今こういう理由で遅くなっているんだ」と、当たり前のことですがしっかり理由を説明するようにしています。

真摯に接してくれているかどうかということは、こどもも感じていると思います。ちゃんと伝えればちゃんと返ってくる。真摯に向き合うことで、伝えたのに全く聞かないとか、真剣な話ができないっていうことはないんじゃないかと思います。

――仕事における誇りと情熱を教えてください。

こどもの成長に間近で関われること、そして放課後の児童が安心して過ごせる居場所をつくるという、現代社会に必要不可欠な仕事を担っていることが誇りです。

こどもたちとの関わりには、日々情熱を注いでいます。遊びも全力で行い、指導や支援は児童のことを第一に考えて「安全安心」で「楽しい」居場所づくりに励んでいます。

――これから責任者を目指す人に向けて、メッセージをお願いします。

「責任者」と聞くと、業務量が多いことや責任を背負うことにまず目がいくと思いますが、それ以上に仕事にやりがいを感じる立場であると自分は感じています。新卒3年目で責任者になり、これまで経験できなかったことを沢山経験することができました。失敗も多くしてきましたが、早いうちに経験したことでその分成長もできました。

若手のうちから校長先生や保護者の方と同じ立場で話し、責任を持ってこどもたちの放課後を担う。そんな経験はなかなかできないんじゃないかと思います。ありがたいことに挑戦できる環境があるため、目指す方は、まずは「責任者に挑戦したい」と周りに発信してみることが大切だと思います。