――小川チーフのこれまでのキャリアを教えてください。
専門学校を卒業して、最初はレストランに就職しました。出産を経て、こどもの生活スタイルに合わせて、土日休みで夏休みがある学校給食の仕事を選びました。
葉隠勇進は今年で8年目になります。入社して2年目でサブチーフ、5年目でチーフになりました。
――チーフ(責任者)として心掛けていることはありますか?
一緒に働いている社員やパートナーさんたちに、感謝の気持ちを伝えることです。「ありがとう」とか、私自身がミスをして、それに気が付いてくれたときには「ごめんね」とか、ちゃんと言葉にするように心掛けています。そして、出来るようになったことがあったり、成長を感じたときには、小さなことでも見逃さずに拾い上げ、本人に伝えるようにしています。
――年上やベテランのメンバーとコミュニケーションを取るときに意識していることはありますか?
年齢は特別意識していませんが、社歴が長い方や複数の事業所での経験を持つ方には、知識や経験がたくさんあるので、私から相談することもあります。
例えば、「もっと効率良く作業するにはどうしたらいいですかね?」などと、意見を聞いています。
――新人の方にはどのように接していますか?
最初の1、2週間は、必ず教育担当を付けて、一人にしないようにしています。
忙しいときは気を遣ってしまうと思うので、「分からないことがあったら、どれだけバタバタしていてもいつでも聞いていいからね」と伝えて、安心して質問できる環境を整えています。
――小川さんが学校給食調理業務において、特に大切にしていることは何ですか?
温かいものは温かいうちに、揚げ物はサクッとした状態で、できるだけおいしく食べてもらいたいと思っています。
なので、できる限りギリギリまで調理して、こどもたちには一番おいしい状態で食べてもらえるようにしています。チームのみんなにもその想いを共有して理解してもらっているんです。
――素敵なこだわりですね!
校長先生からお褒めの言葉をいただいたこともあります。他の学校では冷めた状態で提供されることも多かったけど、この学校は温かいものは温かく、冷たいサラダとかはちゃんと冷たい状態で出してくれるって言ってくださって。
そうやって気づいてもらえたことが本当に嬉しかったです。すぐに社員やパートナーさんにその言葉を伝えて、「頑張ってきて良かったね」って、みんなで喜び合いました。
――普段から、いただいた言葉を共有しているのでしょうか?
そうですね。私は栄養士先生や校長先生とお話しする機会があるのですが、パートナーさんたちはあまり機会がないんです。なので、何か良いことを言ってもらったら、必ずみんなに伝えるようにしています。
――忙しい給食現場で、冷静な判断が必要な場面も多いと思いますが、意識していることはありますか?
準備の段階でなるべく余裕を持った工程を組んだり、私がバタバタ動き回っているとみんなも忙しい気持ちになってしまうので、落ち着いて動くようにしています。
時間に追われている中で、一つミスをするとパニックになって次々とミスが重なってしまうこともあるので、みんなが落ち着いて作業できるよう、質問されたときには一つ一つ丁寧に答えるようにしています。
私が尊敬しているチーフは、誰かがミスをしても決して責めず、「何かあったら絶対にどうにかするから大丈夫!」と、常にドンと構えている方だったんです。私もそんな心の広いチーフでいたいなと思っています。
――仕事における誇りと情熱を教えてください。
こどもたちって苦手な食べ物があっても、調理方法を少し工夫するだけで食べてくれることがあるんです。例えばピーマンの苦みをちょっと取ってあげると「家ではピーマン嫌いだけど、給食では食べられる」と言ってくれる子もいました。
中には給食が苦手だと感じている子もいるかもしれませんが、少しでも給食の時間が楽しいものになるように、日々工夫を重ねています。将来、こどもたちが大人になったときに、「給食楽しかったな」と思い出してもらえたら嬉しいですよね。
――これから責任者を目指す方に向けて、メッセージをお願いします。
チーフにならないとできない経験や見えない世界がたくさんあるので、特に若い人にはぜひチャレンジしてほしいと思っています。
実は私も、入社3年目のときに「チーフになりませんか」と声をかけてもらったのですが、そのときは自信が無くてお断りしてしまいました。でも翌年、もう一度当時のマネージャーが「全力でサポートするから、やってみましょう!」と言ってくださって。その言葉に背中を押されて引き受けました。
実際チーフになったら、マネージャーもたくさんサポートしてくれたし、他の事業所のチーフたちとの横のつながりにもすごく助けられました。チーフ1年目は分からないことだらけでしたが、メールや電話で聞けばみんなが教えてくれて、どうにか乗り越えられました。
2年目になると少し余裕ができてきて、人を育てることに力を入れるようになっていきました。今はみんながどんどん成長していくことが嬉しくて、やりがいになっていますね。
だから、「私にチーフはできない」と怖がらなくて大丈夫です。挑戦してみれば、きっと助けてくれる仲間がいるし、成長できる経験とやりがいにつながると思いますよ。