インタビュー×学校給食

学校給食現場インタビュー
「子どもたちに少しでもおいしく作って喜んでもらいたい」チームワークでおいしさを究める

学校給食の舞台裏

インタビュー:葉隠勇進 森仰チーフ・芝本忍さん・細野みずほさん、(社員の松原勲さんは業務のため不参加)
※葉隠勇進では責任者を「チーフ」と呼びます。

学校給食の現場で17年。都内の小学校で働く責任者の森チーフは、「子どもにいかに喜んでもらえる給食を出せるか、子どもたちに少しでもおいしく作って喜んでもらいたい」と学校給食づくりにかける想いを語ります。森チーフが働く小学校は一日800食を社員4人、パートナー社員9人のチームワークで、見た目にも味にも子どものことを考えた給食づくりを追求しています。

じゃがいも100キロ。「精神力が鍛えられます」

――本日は3名の方にお話を伺います。800食の現場。皆さんはこちらの現場は何年目ですか。

森:葉隠勇進では17年目です。中堅となってきました。この小学校は7年目です。800食はこれまでで一番多い食数です。

芝本:私は葉隠勇進に入社して5年目ですが、この小学校へは昨年異動してきたので2年目です。一つ前の学校は400食ほどで異動の際にちょっと多いくらいだよと聞いていたのですが(笑)、倍になりました。多いときはじゃがいもが100キロも届くんです。

――100キロはすごいですね。

森:そうですね。慣れていないと気持ちが負けてしまうので、精神力が鍛えられます。あきらめたら終わりです。

細野:私は新卒で昨年入社して今年が2年目で、この小学校が初めての現場です。最初は重いものが持てなかったのですが、今では特に右手に力が付きました。

芝本:クラスの数が多いのでその分、配缶する量も増えるので力が付きますね。あまり多くはないですが、ピラフとか混ぜごはんは、量が多すぎて気合を入れないと混ぜられないんです。

細野:ムサカという海外の料理を作った時も大変でした。工程が多く、一気に作るのではなく、800食分一つ一つ整形して焼かないといけないので、時間に追われて。最後の一個がオーブンに入った時はやっと終わったーって。

ひと手間へのこだわり

――葉隠勇進は「ひと手間のこだわり」が特長ですが、800食を作る中でのこだわりはどうでしょうか。

芝本:「こうした方が見た目がいい」など森チーフが提案することが多いです。以前ゼリーを作った時では、一層目にぶどうゼリー、二層目はりんごゼリーで色を分けて、一番上には星型のゼリーを置きました。そこでさらに星のゼリーがずれないようにと透明のゼリーを流してずれないようにしました。

森:味つけや見た目、それから子どもが食べやすいようにと、意識して作っています。それからできあがりが良くなるような切り方。切り方をそろえないと火の通りが違ったり煮崩れたりするんです。あとは子どもたちが楽しんで食べられるように、野菜を型抜きするなどの工夫もしています。

火の通り方でいえば、学校給食はできあがってすぐ食べるわけではありません。子どもが食べるときに一番いい状態になるように、余熱を考えて仕上げて作っています。

「一人ではできない」学び高めあうチームワーク

――お話を聞いているととても仲が良さそうに感じますが、まだお二人はこちらでは二年目。しかもコロナ渦の入社で交流もできない中だと思います。

森:コミュニケーションはとても重要だと思っています。社員みんなで打ち合わせをしたり、私から言うだけではなく提案をしてもらえる環境を作るようにしています。
それから、働いていて楽しいと思えて、やりがいのある職場にしたい。800食だから大変なのは当たり前ですが、楽しいと思ってもらえるような。一人ではできないので、いろいろなことを任せることで、モチベーションを高められたらと考えています。

細野:チーフはいろいろ教えてくださるのでありがたいです。カレーなど一緒に作るときもあって、チーフは作りながらも教えてくれます。それからチーフの料理は本当においしいので、できたてを味見できるのが楽しみなんです。事務作業の書類作成の方法なども「これやってみる?」と任せてくれるもうれしいです。

芝本:チーフの料理は本当においしいので、私も経験を積んで自信をもって作れるようになりたい。おいしいと思えるものを作れるようになりたいです。究めがいがあります。

「少しでもおいしく作って喜んでもらいたい」

――学校給食でのやりがいを教えてください。

森:以前はイタリアンレストランで働いていました。子どもが生まれたことをきっかけに、時間を作りたいと考えて学校給食を選びました。この仕事は、子どもたちであったり学校の先生であったり喜んでもらえる仕事だと思います。子どもから「この食材は嫌いだけど給食では食べられる」といった話を聞くとやりがいを感じます。

細野:調理をしていると子どもと会う時間はあまりないのですが、子どもが楽しみにしてる声を直接聞けたときに。がんばってよかったなと思います。

芝本:私は残菜が少ないと嬉しいですね。こういうのが好きなんだなとかわかります。

森:子どものころって給食が楽しみでした。おいしいと嬉しいし、学校に来る楽しみです。だから、少しでもおいしく作って喜んでもらいたい。子どもにいかに喜んでもらえるものを出せるか。それだけです。一緒に働いているメンバーにもそういった気持ちを共有し、一緒に成長できたらいいなと思います。