――和賀園長のこれまでのキャリアを教えてください。
最初は幼稚園で働いていて、その後、保育園に転職しました。明日葉保育園では6年目になり、園長を務めて3年目です。
――若手の先生たちから「話しかけやすい」と聞きましたが、意識していることはありますか?
私自身もよく先生たちに「これどうしたらいいと思う?」とか「こういう時、みんなどうしてる?」と相談します。そういうやり取りがあることで、先生たちも「気軽に話しかけられているから、気軽に話しかけてもいいんだ」と感じてくれているのかなと思います。
――先生たちに声をかけるときに、意識していることはありますか?
日々、慌ただしく過ごしている中で、ずんと落ち込んで、考え込んでしまうこともあると思います。ときにはそれも必要だとは思いますが、やっぱりそこに飲み込まれてしまうと、次に進めなくなってしまいます。
だから「一人で抱え込まず、みんなに相談してみて」とか、「隣のクラスの先生に助けを求めてみたら」と声をかけるようにしています。最近は横のつながりも強くなってきたのを感じてとても嬉しいですね。
――相生園は離職率が低く、社員満足度(ES)調査でも高い結果が出ています。
ベテランの先生も若手の先生も、お互いをリスペクトし合っているし、運動会などの行事では、みんなぎゅっと団結してくれます。そういう人間関係の部分が大きいんじゃないかなと思います。
――なぜ団結力が強いのでしょうか?
年齢別のクラスリーダー、乳児リーダーと幼児リーダー、そして主任と、みんな自身の役割をしっかり理解してチームをまとめてくれていますね。そういう小さな単位からしっかりとまとまることで、ピラミッド型の組織が上手く機能するようになってきました。
主任と協力してリーダーの役割を明確にし、各リーダーにしっかり理解してもらうように説明してきました。それが実を結び始めてきているのかなと思います。
――ES調査では、「社員の配置」に対する満足度も高かったですよね。
メンバーそれぞれの性格や得意分野を理解している各リーダーに任せ、適材適所の配置を組んでもらいました。私と主任だけで決めていたら、みんなが納得のいく配置にはならなかったと思うので、リーダーたちのサポートはとてもありがたいなと思っています。
――「負担が偏らない仕事の割り当てができている」という声も聞きました。
行事などの際には、どうしても特定の先生に負担や責任が集中してしまうことがありました。もちろん、担任の先生がやらなければならない仕事はしっかり担ってもらう必要がありますが、それ以外の業務については、パートナーの先生やフリーの先生にお願いしても良いと思っています。
そのためにまず、誰が何の仕事を抱えているのか、業務の見える化を進めました。事務所にボードを設置し、今の業務状況や、他の先生に手伝ってほしいことを書き込んでいきました。
さらに、年度の初めにある程度行事の担当を決めておくことで、打ち合わせや準備を早めに進めることができ、余裕を持って行事を迎えられるようになりました。
先生たちには、担当だからといって全ての仕事を抱え込むのではなく、担当はあくまで担当であり、そこから手伝ってもらったり仕事を振ったりして、ゴールまで進めていくことが大切だよ、と伝えています。
――そのようなESの結果をより深堀りした現場力が、社内で評価されました。
「なんでESが上がったのか、もっと詳しく知りたいね」という話になり、3年目保育士の紀香先生と1年目保育士の香乃先生が、保育士全員にアンケートを取ってくれました。
評価が上がった理由を自由記述で答えるアンケートでしたが、みんなしっかり答えてくれました。先生たちはこんな風に思って、こんな風に配慮しながら仕事してくれていたんだというのが分かって、私にとってもすごく有意義でした。
――今年度上期の現場力アワード(※)で二次ノミネート作品に選ばれましたね。プレゼンの仕方や資料のまとめ方も工夫されていました。
はい、紀香先生はやるからには手を抜かずにしっかり取り組むタイプなので、とても丁寧に進めてくれました。
プレゼン用の資料づくりでは、他の先生たちがタイムキーパーをしてくれたり、保育の調整をして作成の時間を作ってくれたりしました。「私はこういうのはできないから、肩揉んであげる~」という先生もいたりして₍笑₎。
みんなが見える形でも見えない形でも、それぞれ応援してくれていました。
完成した資料を園のグループLINEに送ったときも、「すごい良かったよ」と紀香先生に直接声をかけてくれる先生がたくさんいて、みんなの温かい雰囲気が感じられました。
ES調査は毎年行われるものなので、今後も検証と、みんなで改善を考えていくことは続けていきたいですね。
(※)現場力アワード:ソシオークグループでは、現場で働く社員の改善の取り組み「現場力」の中から、特に素晴らしいものを選出し、年に2回表彰を行っています。ノミネートされた社員はプレゼンテーションを実施します。
――相生園ではお客様満足度(CS)調査の結果も、先生たちに開示されているんですよね。
そうですね。保護者の皆様からの意見をクラスごとに共有しています。
「こんな意見があったけど、みんなだったら何ができますか?」と問いかけ、先生たち自身が「こういう対応ができるんじゃないか」と話し合って、改善案を提出してくれます。
すぐできるもの、例えば「これを置いてください」とか、「ここを綺麗にしてください」といったご意見には、みんなすぐに対応するようにしていますね。
私だけがもらったフィードバックではないので、私だけが考えてもしょうがないし、私だけが改善しても意味がありません。ありがたい言葉もたくさんいただいているので、「先生たちが日々保育していることに、これだけたくさんの感謝の気持ちを持っている人がいるんだよ」と伝えつつ、今後改善すべき点についても一緒に考えています。「良いところは自信を持って、これからももっと良くしていこう!」と声をかけるようにしていますね。
――園長先生として心掛けていることはありますか?
園長だからといって、構えすぎないようにしています。確かに運営責任者としての役割はありますが、園は私一人で運営しているわけではなく、みんなで作り上げているものです。
私も先生たちに意見を求めたり、「こうしたいんだけど、どう思う?」と相談することが多く、そのときは若手からベテランまで色々なアイデアを出してくれます。
――明日葉保育園で働く仲間や、これから責任のあるポジションを目指す方に向けて、メッセージがあれば教えてください。
副園長から園長になるときには、「本当に無理です」と言っていました(笑)。でも社長の杉原さんから「役が人を育てるということもあるよ」と言われて、それを信じて一歩踏み出しました。今振り返ると、確かにそうだったのかなと思います。
相生園の先生たちは本当に素晴らしい方ばかりなので、私一人の力では難しいことも、みんなの助けを借りながら乗り越えてきました。なので、気負わず、皆さんと協力して、楽しく進めていってもらえるのが一番いいのかなと思います。
私自身も、できるだけマイナスオーラを出さないように気を付けています。やっぱり園長って周りからよく見られているので、自分の言動ひとつが良くも悪くも周囲に影響を与えるなと実感しています。
そして「たまたま私が園長だけど、ここは私の園ではない」といつも思っているんです。なので、なるべく先生たちがやりたいことを実現できるような環境を整えてあげたいなと思っています。
🎤現場力に取り組んだ、相生園の若手社員にも聞いてみました!
橋元 紀香さん(2022年入社)
――和賀園長はどんな園長先生ですか?
保育だけでなく、私が地元を離れて一人暮らしをしているので、「ちゃんとご飯食べてる?」と生活面まで気を配ってくれるお母さんのような存在です。ありがたいなあと思っています。
――今回、現場力に取り組んでみていかがでしたか?
先輩たちがどんな想いで若手に声をかけてくれていたのか、どんなことを意識してコミュニケーションを取っているのか、今までの言葉や行動に込められた想いが見えて、とても勉強になりました。先輩たちへの感謝とともに、今度は自分が後輩たちへ同じように声をかけたいなと思います。
また、「ATM&2P」という言葉も、入社時にはぼんやりと理解していただけでしたが、今回のアンケートを通して、相生園では実際にどういう行動をして、どういった状態になれば「ATM&2P」といえるのかが明確になりました。
宅間 香乃さん(2024年入社)
――今回現場力に取り組んでみていかがでしたか?
先輩たちがどういう想いで声をかけてくれているのかがわかって、改めて相生園には素敵な先生たちがたくさんいるなと感じました。相生園の離職率が下がったのも、先生たち一人一人の温かい想いと行動の結果なんだなと実感しました。
――入社して半年経って、いかがですか?
最初はすごく緊張していたんですが、園長先生も先輩たちも話しやすく、「それいいね!」と褒めてくれたり、「こういうところは良かったけど、こうしたらもっといいんじゃない?」と優しくアドバイスをくれたりして、1年目から大切に見守っていただいているのを感じています。