現場力作成者:葉隠勇進株式会社 古河市内にある小学校の給食現場 飯山 広人さん
ソシオークグループの「現場力」とは
「現場力」とは、フードサービスや子育て支援、運行管理・移動サービスなど現場ではたらくソシオークグループの社員が自ら課題や改善点を見つけ、知恵と工夫によりチームで改善を重ねていく取り組みです。自ら考え実践するナレッジワーカーとしての誇りの醸成や、個人の持続的成長につながるとともに、各現場の意欲向上や組織の活性化にもつながっています。
茨城県古河市の小学校では、切りものの一部を手切りで行うことで、社員の技術向上や、ムリ・ムダ・ムラの解消にもつながると考えました。発案者である飯山さんに、その背景についてお話を伺いました。
――飯山さんが手切りを導入したいと思ったのはなぜでしょうか?
手切りなら、ラーメンやうどんの麺の太さや厚みに合わせて、野菜の切り方をミリ単位で調整できます。そのため、野菜の切れ端までムダなく使い切れて、見た目もきれいになるんです。さらに、野菜の持つ食感が残せるので、児童にとっても食べやすくなります。
機械を使えば早いし、形も均一に仕上げられるのですが、手切りでも360食なら対応できると思って提案しました。
――手切りの一部導入にあたり、大変だったことについて教えてください。
重要なのは、大きさをそろえて丁寧にスピーディーに切ることです。当初は、そのスピード感に慣れない社員もいました。
そこで、提供時間を逆算して、手切りにかける時間を確保して「焦らなくて良いですよ」と声を掛けました。作業工程も見直し、特に時間がかかる「人参の千切り」があるときには、他の野菜を僕が引き受け、とにかく人参だけに集中してもらいました。そのほうが効率的に進められるし、人参の千切りができれば他の野菜を切る際にもスピーディーに対応できるようになるので、社員の技術を高められます。
今では提供時間に間に合わせるために、どの野菜から切ると効率的か、作業の順番をみんなで確認しながら進められるようになりました。
――手切りにしたことにより、どのような効果がありましたか?
「食缶を開けた瞬間『きれいだな』と思うようになりました」と先生方が伝えてくださいました。献立によって野菜の太さや厚みを手切りで調節することで、全体に統一感を出せるようになりました。個人的にも食感と見栄えが格段に良くなったと思います。
現場の社員も、献立ごとにどれくらいの厚さで野菜を切るかを意識するようになり、僕に相談しに来てくれるようになりました。現場全体のスキルアップにつながったと思います。
僕はよく「子どもたちが直接口に入れる給食は毎日が本番」と伝えていますが、それを念頭に置いて動いてくれています。
――飯山さんが学校給食現場において大切にしていることは何でしょうか?
児童に「ご飯を食べるって楽しい!」と思って欲しいので、最高の給食を提供していきたいですね。そのために児童のためになる調理を実践していきたいです。機械作業は確かに効率的ですが、作業のムリ・ムダ・ムラをなくすにもいろいろな方法があると思っています。野菜の食感を残すためには手切りの技術を向上させて、無理なく時間内に給食を提供できるところまで持っていくことも大切だと考えています。
てしおにかけた給食を提供していくために、プロとして自分ができることならひと手間もふた手間も惜しまず、全力でやっています。
今僕が勤めている小学校では、廊下から給食室の中が見えます。自分たちがいつも食べている給食がどうやって作られているのか児童に興味を持ってもらい「自分も何か作ってみたいな」と思うきっかけになれば嬉しいです。