インタビュー保育園学童・児童館

安心できる空間をつくることが、子どもの「できた!」につながる リーフサポート体操講師の想いとは

リーフサポート 安達 雄祐さん

リーフサポートで体操講師として、保育園や学童の子どもたちに体操や運動遊びを教える安達 雄祐さん。入社7年目で、リーフサポートとして会社が独立する前から体操指導員として活躍。今では指導チームのリーダーも務めています。

そんな安達さんの体操教室に密着すると、初めて教えるクラスの子の名前をすぐに覚えたり、ケガをして体操ができない子も一緒に楽しめる工夫をしたりと、先生としての想いや工夫が随所に感じられました。

安心できる空間で、のびのびと楽しみながら、どんどん体操ができるようになっていく子どもたち。そんな体操教室を行う安達先生に、子どもたちへの接し方や想いについて、お話を伺いました。

決められたプログラムではなく、子ども一人一人に合わせたものを


――まずは、リーフサポートでのお仕事について教えてください。

明日葉保育園全園の2歳~5歳児まで(※)に向けて、週に1回の体操教室と、明日葉が運営する学童・児童館で小学校全学年を対象に月に1回の運動遊びを実施しています。保育園児にはマットや跳び箱を使った体操教室、学童ではドッチボールやダンス、サッカーなどを実施しています。

また、明日葉が運営する学童は全国にわたるため、大阪や九州などにも出張し、単発のスポーツイベントを実施しています。この前は大阪の学童で、パラリンピック競技にもなったボッチャというパラスポーツを行いました。

あとは今年度から渋谷区の「クラブ事業コーディネート業務」にも参画させていただき、渋谷区の他社が運営する学童でもサッカーやダンスの教室を実施しました。

※2歳児は1月からスタート

――リーフサポートで実施している「DEKITA」の体操プログラムについて教えてください。

基本的には発達段階に応じた運動やマット、跳び箱などのプログラムがあり、それらを行うことで「できた!」という自信につなげてほしいという想いがあります。

ただプログラムの内容ががっちり決められているわけではなく、どの先生も、そのクラスのカラーや、その子自身の発達段階、性格などを見て内容を変えるようにしています。

――体操教室に密着してみて感じたのですが、一人一人のことをすごく気にかけていますよね。プログラムが始まる前に、少し元気が無さそうな子に「昨日のアニメ見た?」と話しかけたり。

集団に教えていても、絶対に個人を見るようにしています。その子の性格はもちろんですが、その日の気分や状態も見るようにしてて。例え10人に教えていても、一人一人と接している、ということを常に意識してます。

あと名前も絶対に一回で覚えるようにしています。何ならこの子は何が好きとかまで覚えてて。その子はアニメが好きだったから、アニメの話をしたら元気になるかなと思って話しかけました。



――色んな性格の子がいると思うのですが、接するうえで心がけていることはありますか?

その子がどんな性格なのかしっかり見るようにしています。この子はちょっと繊細だな、とかこの子はちょっと目立ちたがり屋だな、とか。

あとは保育士の先生から、普段の保育の中での話を聞くようにしています。例えば「最近よく手が出ちゃう子がいるんですよ」って聞いたら、体操教室の中でできることはないかな、と思ってアプローチしてみます。教室で子ども自身に体操のお手本をやってもらうと、みんな「すごい!」って拍手しますよね。それがその子にとって称賛された・認められたという気持ちにつながります。子どもからしたら僕たち大人から褒められるより、子ども同士で認められた方が絶対嬉しいんですよね。それが安心につながって落ち着く子もいますね。

運動が苦手な子も含め、みんなが安心できる空間をつくる

2歳児クラスは跳び箱の上に乗ることから挑戦

――見学当日、2歳児クラスは初めての教室でしたが、みんなすぐに打ち解けていました。

初めてだったんで、担任の先生に普段みんながどんな遊びをしているか聞きました。こちらが何か指定するより、まずは普段の遊びに僕が混ぜてもらおうと思って。一緒に遊んでいるうちにみんなが僕に慣れてきたんで、じゃあちょっとマットとか跳び箱を使って、体操っぽいことしてみようって。でもルールはないから、やりたいようにやっていいよって。初めてだったからあの日はすごく大切にしました。

――5歳児クラスでは足のケガをしていて体操に参加できない子もいたのですが、その子も楽しめるように工夫されていたのが印象的でした。

ケガしていた子は、元々明るい子で、その日もニコニコしていたんですが、ふと見せる表情が何だか元気がないような気がして。僕から話しかけてみたのですが、やっぱり僕だけじゃなくて、子どもたちみんなに気にしてほしいし、みんなで楽しく過ごしてほしいんです。

なので、ケガをしていても椅子に座りながらみんなの取り組みに参加できるよう、あえてその子のことを「監督」と呼んで、体操の出来を評価してもらったり、みんながマットに取り組んでいる横に座って一緒に遊んでもらったりしました。


座りながらもみんなと遊べる工夫を

――ケガしている子も含めて、みんな楽しそうでしたよね。

ケガしているからといって、本を読んだり、ただ座って見ていたりするよりは、みんなで笑って楽しんでほしいんですよね。あの時は本当に、みんなが安心して楽しめる、良い空間ができてたと思います。

それで言うと、子どもが安心できる空間をつくることは常に意識していますね。安心できると、「これやってみてもいい?」って自発的な行動が出てくるし、普通の時よりも何倍も、できることが多くなるんですよね。

――あの日も5歳児クラスが、跳び箱を縦で五段、跳んでましたよね!レベルが高くて驚きました!

僕も同じくらい驚いて、感動していました(笑)。みんなどんどん跳べるようになるから。

逆にそういう時こそ、怪我させちゃいけない。体操講師としての知識と技術が必要になりますね。最初の頃に勉強を頑張ったからこそ、今この瞬間に安心して立ち会えているんだな、と思います。そういう瞬間に立ち会えることこそが本当に、体操講師としてのやりがいですね。

――先生も感動してくれているから、みんなの自信につながりますね。私は運動が苦手だったので、皆の前で運動するのが嫌だなと思っていたのですが、先生が自信を持たせてくれたり、安心できる空間を作ってくれたりすることで、子どもたちは苦手なことにも挑戦しやすくなりますね。

実は僕も、ダンスとか体操は子どもの頃苦手だったので、すごく気持ちが分かります。今は笑って言えるけど、その時は子どもなりに苦しんだ。

だから苦手な子に対しては、自分の中で一番力を入れていますね。何回失敗してもいいんだよ、っていう安心できる空間をつくって、子どもたちが挑戦しやすいようにしています。

そうすると、その子が頑張って、少しでもできるようになる瞬間が来るんですよ。その瞬間を絶対に逃さないようにします。その瞬間を止めて、「ごめん、みんな止まって!〇〇君のこと見て!」ってみんなに注目させて、「ちょっともう一回やってみて」って。それで成功するとみんなから褒められるから、その子はニヤニヤが止まらなくなって、本当に嬉しそうにしますね(笑)。そういう体験って性格さえ変える可能性がありますからね。

体操を通して、自分も他人も認められる子になってほしい

めいっぱいジャンプしながら「DEKITAツリー」にシールを貼る子も

――保育園には「DEKITA」のツリーがあって、体操教室が終わったら子どもたちはシールを貼っていましたね。

保育園の体操教室は、検定を取るわけではないし、「この技ができたら何級」のようなレベル分けがあるわけではないのですが、「できた!」ってことを見える化したいなと思って始めました。大人でいう「サンクスツリー」みたいなシステムにしたいなって。

子どもたちは「今日できたこと」を先生に話してシールを貼るのですが、機械的にはしたくないので、どんなことでシールを貼ってもいいよ、と言っています。

――最後に、「DEKITA」の体操プログラムを通じて子どもたちになってほしい姿があれば教えてください。

少しでも自信が持てる子になってほしいですね。体操や運動に限らず、「できた!」ってことを積み上げることで、その子の自己肯定感につながったらいいなと思います。

そして自分のことだけでなく、他人のことも認められる子になってほしいです。みんなの「できた!」を認め合う体操の時間が、幼少期において大切な時間だと思っていて。そういう時間をみんなでつくっていけたらいいなと思っています。