現場力作成者:株式会社あしたばマインド 明日葉保育園駒岡園 坂井 志穂先生・菅原友紀子園長
ソシオークグループの「現場力」とは
「現場力」とは、フードサービスや子育て支援、運行管理・移動サービスなど現場ではたらくソシオークグループの社員が自ら課題や改善点を見つけ、知恵と工夫によりチームで改善を重ねていく取り組みです。自ら考え実践するナレッジワーカーとしての誇りの醸成や、個人の持続的成長につながるとともに、各現場の意欲向上や組織の活性化にもつながっています。
明日葉保育園駒岡園は、保育の中で生み出す“子どものための現場力”を大切にしています。今回の現場力も、「まだ自分の想いをうまく伝えられない子どもたちのために、遊びの中で想像力や表現力が身に付けられれば」という坂井先生の想いから始まりました。
園全体で保育の力を高め合っていく駒岡園の現場力について、菅原園長と坂井先生にお話を伺いました。
――まずは、今回の現場力が誕生したきっかけについて教えてください。
坂井 志穂先生(以下敬称略):今回の「お話カード」ができる前に、他の先生たちと一緒に「絵合わせカード」というものを作りました。例えば、「ひまわり」や「ひまわり畑」など、ひまわりにまつわる絵がそれぞれのカードに描かれていて、誰かが「ひまわり」と言ったらそれらのカードを選び取る、かるたのような遊び方をします。
低年齢児向けに作りましたが、ある日4歳児が、数枚の異なるカードからお話を連想していくような遊び方をしていたんです。例えば、ひまわり畑の絵と、お弁当を食べている絵を並べて「お弁当を食べに遠足に行きました」というような。そこで、4歳児向けに、子どもたちの想像力や表現力を広げられるようなカードに発展させられないかと思い、今回この「お話カード」というものを作りました。
そこには、子どもたちが「自分の想いや考えを言葉にする」ということを、遊びの中で自然に身に付けられたらいいなという願いを込めました。子どもたちはよく「先生あのね、あのね」と話しかけてくれるんですが、なかなか言いたい言葉が出てこない子がたくさんいて。実は私にも4歳の娘がいるので、家庭でもそれを実感していたんです。子どもが自分で考えて、自分の中で言葉にして発するということが、遊びを通してできたらいいなと日頃から思っていました。
――実際に子どもたちは、どのようにお話カードで遊んでいますか?
坂井:お話カードは、同じグループのカード4枚が6セットあります。例えば雪のグループだったら、雪が降っている絵、雪だるまの絵、空が晴れて雪だるまが溶けている絵、雪だるまが溶けて子どもが泣いている絵が、それぞれのカードに描いてあります。
最初に「こんなの作ったんだけど、どう?」ってカードを提供したとき、子どもたちに自分で遊び方を探してほしいなと思ってこちらで遊び方を指定しなかったんです。
大人だと、カードを時系列順に並べちゃいますよね。雪が降って、雪だるまができて、空が晴れて雪だるまが溶けるというような。でも子どもたちは、雪が溶けた後に雪だるまの絵を並べたりと、自由にカードを並べていきました。
私が考えていた以上に、子どもたちは自分で経験したことがない出来事に関して、柔軟でユニークな発想をしながらお話を作っていくんだなという学びになりました。子どもによって全く違うお話を作ることも面白く、その子なりの表現の仕方や個性を知ることができました。
菅原 友紀子園長(以下敬称略):坂井先生が言った通り、しゃべりたいけれど言葉がうまく出てこない子は本当に多くて。こどもたちが自分でお話を作ることで、遊びながら想像力や表現力が身につくのは素晴らしいと思います。
実際、昨年お話カードを使っていた5歳児の子たちは、想像力が豊かで、空想のお話をするのがとっても上手。カードで遊んでいた影響もあるのかなと思っています。
――駒岡園では普段、現場力にどのように取り組まれていますか?
坂井:駒岡園では、生まれた現場力をどんどん発展させていく先生が多いと感じています。私もその影響を受けて、絵合わせカードの現場力を発展させ、お話カードを作りました。
菅原:パートナー社員 (※) も含め、「園の先生全員が上半期と下半期にそれぞれ1枚以上レポートを提出しましょう」と伝えています。坂井先生をはじめ、保育力が高い先生ばかりで、日常の保育をやりながらも、先生たち全員で力を合わせて現場力をどんどん良いものにしてくれる。この現場力を見たときにも、素晴らしいなあと感動しました。
(※)ソシオークグループでは、パート社員のことを「パートナー社員」と呼称
――お二人が現場力において特に大切にしていることは何ですか?
菅原:私が一貫して先生たちに伝えているのは、保育の中で、子どもたちのための現場力を考えてほしいということです。子どもたちのために行う現場力って、数値化や見える化がしづらいし難しいんですけど、やっぱり保育園で働いている以上、子どものためにこんなことをやってみたら、こんな良いことがありましたよっていう取り組みをしてほしい。駒岡園の先生たちは、子どもたちのための現場力をたくさん上げてくれるようになって、私もすごく嬉しいです。
坂井:私も菅原園長と同じ考えで、やっぱり子どものためにっていうところを一番に考えて、現場力に取り組んでいます。パートナー社員として、さまざまな年齢のクラスに入ることが多いこともあって、子どもそれぞれの発達段階に応じた、そのとき欲している遊びや、自己表現を豊かにする遊びを考えて、どんどん提供していけたらいいなと思っています。