現場力×保育園

現場力インタビューVol.27
「早く会いたい・遊びたい 選ばれる園になるために」

畑園長(写真右)と後藤主任(写真左)

現場力作成者:株式会社あしたばマインド 明日葉保育園宮崎台園の(はた) 玲子(れいこ)園長・後藤(ごとう) (さち)主任

ソシオークグループの「現場力」とは
「現場力」とは、フードサービスや子育て支援、運行管理・移動サービスなど現場ではたらくソシオークグループの社員が自ら課題や改善点を見つけ、知恵と工夫によりチームで改善を重ねていく取り組みです。自ら考え実践するナレッジワーカーとしての誇りの醸成や、個人の持続的成長につながるとともに、各現場の意欲向上や組織の活性化にもつながっています。

現在では園児の定員が充足している宮崎台園ですが、昨年はコロナの影響もあり、例年と比較して園の入園希望者が少なくなってしまった時期がありました。その頃から園の先生たちは、地域の皆様に選ばれる園になるため、さまざまな施策に取り組んできました。そして、取り組みを進める中で、園児数は徐々に増えてまいりました。

「先生たちには、明日何をしようかってワクワクできるような保育をしてほしい」と語る畑園長と後藤主任は、今回のインタビューにも、とても楽しげに答えてくださいました。

――今回の現場力が誕生したきっかけについて教えてください。

畑 玲子園長(以下敬称略):きっかけは、2021年4月に、0歳児の入園希望者が、例年より少なかったことでした。毎年1月に区役所から、今年度の新入園児の人数が通知されるんです。今年度は何人来てくれるのかなって楽しみに通知を開けたら、0歳児の入園希望が、定員6名のところ2名しかいなくて。私も後藤主任も長いこと保育士をやっていますが、0歳児の定員割れは初めてだったので、ショックでした。

区役所の方は「今年はみなさんコロナに感染するのを怖がって、どこの園も定員割れですよ」って言ってくださったんですが、コロナに関わらず、地域の皆様から選ばれる園になるためにはどうすればいいだろう、と園の先生たち全員で考え始めたことから、この現場力が始まりました。

地域の方に見ていただけるよう、掲示板を可愛く装飾して、毎月新しい情報を掲載しました

――現場力に取り組んだ際のエピソードや、変わったことがあれば教えてください。

畑:「グループの行動指針 “ATM&2P(明るく・楽しく・前向きに 誇りと情熱を持って)”を宮崎台園でも掲げていこうね!」と伝え、まずは元気に挨拶しよう!と先生たちに呼びかけました。ささいなことから園の意識を変えたかったのです。

初めのうち、若い先生は、声が小さかったり表情が硬かったりしたんですが、私からたくさん声を掛けながら、徐々に緊張をほぐしていきました。ある日、来園してくださった方が「先生たちが元気に挨拶してくれて気持ち良かった」と褒めてくださったんです。それがすごく嬉しくて。

先生たちにはいつも、「明日は何をしようか」ってワクワクしながら、次の日を迎えられるような保育をしてほしい、と伝えています。自分たちが楽しくないと、子どもたちにも良い保育を提供できないと思うからです。

今年の保育実習で男子学生が2名来てくれました。なぜ宮崎台園を選んでくれたのかを聞いたら、「公園で、先生と子どもたちがとても楽しそうに遊んでいるのを見て、こういうところで実習したいと思ったからです」って言うんですよ。自信を持って楽しく保育をやっている姿を、外からも理解していただけたのかなと思いました。

園の外観を良くするため、きれいな植物を育てたり、壁面にグリーンカーテンを作ったりしました

――普段、宮崎台園では、現場力にどのように取り組んでいますか?

後藤 幸主任(以下敬称略):これまでもみんな、いろいろ改善してきたけれど、それが現場力だって気付いていませんでしたよね。

畑:うん、こちらから「その改善は現場力だよ」「やって良かったことは、レポートにまとめて報告しよう」と声を掛けてきました。

現場力アワード(※)で準グランプリを頂いてからは、園全体のモチベーションがすごく上がって、私が声を掛ける前に、自主的にレポートを提出するようになったんです。今では私が「この取り組み、レポートにしたら?」って声を掛けるとみんな、「もう提出しました!」って言うから驚いちゃいました(笑)

(※)ソシオークグループで年に2回、特に素晴らしい取り組みを表彰する制度

――準グランプリを受賞した時のお気持ちはいかがでしたか?

畑:驚きと嬉しさでいっぱいでした!現場力について学ぶ「現場力ワークショップ」で、講師の遠藤先生から伺った言葉の中で、ずっと印象に残っているものがあって。「現場力は難しいものじゃなくて、小さなことでも一つ一つ積み重ねていくことで、園が良くなって、みんなが幸せになるんだよ」って言葉です。私たちができることを積み重ねていくと、保育の質が上がり、私たちの仕事も充実し、子どもたちも先生たちもみんなが幸せになるって、すごく良い取り組みだなと思いました。

後藤:こうやってみんなでコツコツやってきたことが大きな成果を生んで、会社からの評価にもつながるんだなと実感しました。

「ATM&2P」で働く笑顔いっぱいの先生たち

――最後に、現場力に取り組む上で、お二人が大切にしていることを教えてください。

後藤:私自身、まだ現場力をどういう風にレポートをまとめたらいいのか分からなくなることが多くて。人に相談したり、意見をもらったりしながら進めています。1人で黙々とレポートを作成するよりも、他の人の視点が入ってきた方が楽しめるし、より良いものができあがるんですよね。

畑:先生たちがやりたいと思っているアイデアとか、挑戦してみたいと思っていることに対して、その気持ちを潰さず、「やってみようよ」って背中を押すようにしています。それでちょっとつまずくことがあったら、「こうしてみたら?」と伝えてみる。スパイスを入れるような感覚です。それは普段の保育でも同じですね。