現場力×学校給食

【現場力インタビュー】小さな改善を重ねて感じた新たなやりがい。レポート提出数上位の現場に聞く、現場力を引き出す秘訣

伊澤さん(前列中央)と同現場の皆さん

現場力作成者:葉隠勇進株式会社 成田市内にある学校給食センターの現場 伊澤(いざわ)和代(かずよ)さん

ソシオークグループの「現場力」とは
「現場力」とは、フードサービスや子育て支援、運行管理・移動サービスなど現場ではたらくソシオークグループの社員が自ら課題や改善点を見つけ、知恵と工夫によりチームで改善を重ねていく取り組みです。自ら考え実践するナレッジワーカーとしての誇りの醸成や、個人の持続的成長につながるとともに、各現場の意欲向上や組織の活性化にもつながっています。

全国にある葉隠勇進の現場の中でも、成田市にある給食センターは2022年度下半期の現場力レポート提出数がトップクラスです。ベテランが揃う現場ですが、葉隠勇進が受託運営を開始して現場力に取り組み始めたのは同年度の8月。現場力を知ったことで自分自身の心持ちだけでなく、チームの雰囲気まで良くなったと話す責任者の伊澤さんの言葉から、短期間でメンバーの改善意識が高まった理由が見えてきました。


――早速ですが、普段どのように現場力に取り組んでいるのでしょうか?

私たちの現場では、私を含めて10人の社員が働いています。最年長の方が75歳で、次いで60代、50代、40代、30代と、年齢層は幅広いです。こういうメンバー構成ですから、道具の置き場所を色分けしたり、誰が見ても分かりやすい表示をするという現場力は多いほうだと思います。

現場力に取り組むにあたって目標があったほうが続けやすいかと思い、1カ月に2件のレポート提出を目指しています。

先月、全員が正確に掲示内容を読み取れるような改善を行いました。食材や調理工程に関する指示書があるのですが、文字が小さめで、読み取りづらく感じる人もいました。そこで文字を大きく書き直して掲示し、誰もが不安なく、スムーズに業務にあたれるようにしました。チームメンバーが働きやすくなるようにはどうすればいいのかと考えながら、現場力に取り組んでいますね。

――どのようにチームメンバーから現場力に対する意見を取り入れていますか?

メンバーには「楽に考えてね」と伝えています。時間短縮だとか、働いている自分たちが楽になることならなんでもいいんだよ、という風に。問いかけることも大事にしています。責任者が「こうしよう」と言ってしまうと押し付けられているように感じて、良い気持ちがしないこともあると思うんですよ。だからこそ、「こうしてみるのはどう思う?」と聞いてみて、発言の機会を作るようにしています。みんながいての現場ですから、全員がやる気を持って働けるように、気づきや意見を引き出せるよう話を振るようにしています。

――現場力に取り組んだことで、どんな効果がありましたか?

現場の雰囲気が以前と全然違いますね。みんな生き生きしていて、動き方が変わったと思う人もいるほどです。頼りにしてもらえているとか、チームの力になれていると感じるのは、きっとやりがいなんだと思います。私もこのメンバーのおかげで、次はどんな改善ができるかなと考えられて楽しいです。

現場力に取り組んだことで、一つのアイデアに対して「それいいね!」「やってみようよ!」と共感が集まって、前向きに挑戦できる良い循環が生まれたように思います。現場力は改善を生み出すだけでなく、一人一人の主体性を引き出す道具もなりました。自分のアイデアを前向きに受け入れてもらえるので、メンバーのモチベーション向上にもつながっていると思います。

――「現場力って何から取り組めばいいかわからない」と感じている現場も少なくないと聞きます。現場力にチャレンジする人へアドバイスはありますか?

一緒に働くメンバーに問いかけてみるのが一番大事なのかなと思います。どんなことをしたら仕事が楽になりそうか聞いてみて、ダメだったらまた次を考えればいいから、まずはやってみようという雰囲気で改善のサイクルが回ると良いですね。うちのチームメンバーはそういう考え方の人が増えました。

あとは、私は頭の片隅でずっと現場力について考えています。常に改善できることはないかなと思っていると、ちょっとしたことも見過ごさずにいられると思います。他の現場に比べたら小さな取り組みかもしれませんが、掃除道具や調理道具が見た目に美しく整理されているかとか、そういうことにこだわるのも立派な現場力だと思っています。

連絡ノート。この日は2学期の給食提供最終日でした。

チーム内での連絡事項や注意点を共有するために、ノートを用意したことがありました。以前は朝礼と夕礼の時に共有事項を口頭で伝えていましたので、何日かお休みをとって出勤した人に伝達漏れが発生することがあったんです。安全で美味しい給食を作るためにはメンバー全員が一致団結しなければいけませんから、小さいことも漏れなく共有できるように、連絡用のノートを置くことにしたんです。みんながまめに書き込んで見てくれるので、今では「お休みを頂いても、ノートを見たら何が変わったか分かって安心できます」と言ってもらえています。

取り組み自体はシンプルですが、これは私たちが一番やってよかったと思う現場力です。小さなことでいいので、「自分たちの仕事を楽にするにはどうしたらいいか?」と気軽に考えてみてほしいです。

――伊澤さんとチームメンバーにとって、現場力に取り組む良さとはなんでしょうか?

メンバー全員が感じていると思いますが、現場力のおかげで、小さな工夫の積み重ねがやりがいにつながる実感を持つことができました。私は学校給食の現場で11年間働いているんですが、みんなのおかげで今が一番楽しいです。一致団結できていて、どんな仕事も楽しく感じられるのは、このメンバーがいてくれるからだと思います。

葉隠勇進に入社する前は自分たちの現場しか見えませんでした。今はエリアマネージャーや現場力レポートを通して、他の現場が何をどう改善しているか知ることができますので、視野が広がったなと思います。現場の外にも仲間がいて、苦労したことや改善の事例を分かち合えるというのも、少なからず私たちが現場力に向き合う原動力になっていると思います。