現場力×送迎バス・移動サービス

現場力インタビューVol.26「園バスの後退事故防止」

幼稚園バス運転士の北島 芳政さん(左)と髙井 美仁さん(右)

現場力作成者:株式会社みつばコミュニティ 相模原市の幼稚園送迎バス運転士 北島(きたじま) (よし)(まさ)さん

ソシオークグループの「現場力」とは
「現場力」とは、フードサービスや子育て支援、運行管理・移動サービスなど現場ではたらくソシオークグループの社員が自ら課題や改善点を見つけ、知恵と工夫によりチームで改善を重ねていく取り組みです。自ら考え実践するナレッジワーカーとしての誇りの醸成や、個人の持続的成長につながるとともに、各現場の意欲向上や組織の活性化にもつながっています。

今回の現場力は、幼稚園の送迎バスの運転士(サービスクルー=SC)を務める北島さんが、同じSCの髙井さん、園の職員である2名の添乗員さんとともに、後退時の危険性を共有して取り組んだ現場力です。後退は死角が多くて事故を起こしてしまう恐れがあったので、安全に停められるやり方を決めました。
日頃から髙井さんと添乗員さんと綿密なコミュニケーションを取り、安全な運行に対する認識を共有し、常により良いサービスの提供を考える北島さんにお話を伺いました。

――今回、後退事故防止に取り組んだきっかけを教えてください。

幼稚園には送迎バスが2台あり、2年前から私と髙井SCの2名で運行しています。駐車場の広さの関係で、切り返しをしなければいけないため、2台同時に園を出発するときは、私か髙井さんどちらかが後方誘導しています。どんな大雨のときでも、安全のために必ず実施してきました。

でも、園に戻るタイミングは別々なので、誘導に回ってくれる人がおらず、SCが1人で注意を払いながら後退せざるを得ない状況でした。後退時は死角が多いため、私も髙井SCも危ない行為だという共通の認識を持っていました。気づかないうちに園児がバスの死角にいた場合、事故になりかねません。このような事態を防ぐためにも、対策が必要だと思っていました。

――具体的な改善方法と、得られた効果について教えてください。

2台のバスにはそれぞれ、添乗員さんが1名ずつ乗車しています。この方々は園の職員さんで、送迎バスの添乗業務を専門としています。この添乗員さん2名に、バスが園に戻るときの後退誘導の協力をお願いすることにしました。

朝の勤務時に私と髙井SC、添乗員2名の計4名が顔を合わせるタイミングがありますので、そこで相談しました。お二人とも素晴らしい方で、すぐにこの危険性を理解し、後退誘導を承諾してくださいました。

添乗員さんが誘導してくれるおかげで、後退のしやすさが格段に上がったんです。おかげで狭い駐車場内でも安全・安心な後退ができるようになったと思います。

――他にはどのような取り組みをしているのでしょうか?

最近の取り組みは、園児の降ろし忘れと忘れ物の防止対策です。以前から幼児の降ろし忘れがあることはニュース等で知っており、さらに昨年は、福岡の保育園で送迎バスに園児が置き去りにされてしまい、熱中症で亡くなったという痛ましいニュースがありましたよね。このようなことを防ぐためにも、以前から園児たちを降ろした直後に添乗員さんが車内消毒と点検をし、最後にSCも点検をしていました。

他にも何かできることはないか髙井SCと相談し、園に到着してから私たちSCが車内を最終点検するまでの流れをより確実にしようと考えました。

添乗員さんには、車内消毒・点検後は乗降ドアを開放したまま園に戻ってもらうようにお願いしました。すると、必ず私たちSCが運転席を立ってドアを閉めに行く必要ができ、そのまま車内に入って点検をする流れが生まれます。

運転席からすぐドアへ向かう流れを作ったことにより、「車内の最終点検の責任は私たちSCにあるんだ」と自分たちがより強く自覚するようになりました。また、園児が隠れられないようなシート下など隅々まで念入りに確認するようになり、シート下のシールなどの小さな忘れ物も、以前より多く見つけられるようになったと思います。

ただ、これで完璧とは思っていません。さらにまだ何か他の方法があるのではないかと、髙井SCと一緒に常に考えています。

――北島さんが仕事において特に大切にしていることを教えてください。

私は、車を運転するときは、常に時間に余裕を持つことを心がけています。余裕がないときは、焦りが運転の仕方にも出て、思わぬトラブルに遭遇することがあると思うんです。時間に余裕を持って行動すれば、心にも余裕が生まれて、安全運転にもつながりますよね。