現場力作成者:ソシオフードサービス株式会社 川崎市にある特別養護老人ホームの給食現場 浦山 真悟さん
ソシオークグループの「現場力」とは
「現場力」とは、フードサービスや子育て支援、運行管理・移動サービスなど現場ではたらくソシオークグループの社員が自ら課題や改善点を見つけ、知恵と工夫によりチームで改善を重ねていく取り組みです。自ら考え実践するナレッジワーカーとしての誇りの醸成や、個人の持続的成長につながるとともに、各現場の意欲向上や組織の活性化にもつながっています。
浦山さんが働く現場では、背中で紐をクロスさせるタイプのエプロンを使用しています。しかし、そこには紐をほどく・縛るという動作の「ムダ」がありました。そこで、着脱が簡単にできるように、現場力として首から掛けてすぐに着られるという改善を行いました。
作業のスムーズな流れを実現するため、日頃から「ムダ」をなくすことに力を入れているという浦山さんの想いを伺いました。
――エプロンの着脱を簡単にしたきっかけは何だったのでしょうか?
エプロンは元々後ろで紐をクロスさせ自分の体に合わせて調節するタイプで、着脱の度に紐をほどく・縛るという動作にやや時間がかかっていました。脱ぐときも、壁のフックに引っ掛けるために紐を輪っかに縛らなくてはならなかったので、手間と感じていたのです。
僕が今勤めている老人ホームでは、「肉と魚を扱うとき」「野菜をカットするとき」などの役割ごとにエプロンを替えるルールがあります。1人が複数の作業を行うので、その分エプロンの着脱回数も多くなり、1日に5,6回くらいですね。この1回にかかる時間を削減できれば、盛り付けや味付けなど、もっと大事な業務に時間を割くことができるのではと思ったんです。
そこで、小さな改善を行いました。(写真のように)エプロンの紐を首に近いところで固く縛り首から掛けるだけで着られるようにしました。こうして着脱の時間を削減でき、脱ぐときに紐を結び直さなくても、すぐ壁に掛けられて楽になったのです。
――早く着脱できるようになってから、どのような改善効果がありましたか?
次の作業に素早く移行できるようになりましたね。1回5秒程度の時短効果があり、1日に換算すると約30秒短縮できました。1日の中で見たらそんなに大した時間ではないのですが、これを年間で続けると、約3.5時間の削減という大きな効果になるんです。
次の作業に進みたくても、エプロンはちゃんと着用しなきゃいけない。でも、紐を結ぶ動作のために1テンポ遅れるのは、時間がもったいない。早く着脱できるようになったことで、配膳までの流れが止まらずスムーズになったと思います。
――浦山さんは、普段から流れを止めないことを大切にしているでしょうか?
そうですね。流れを止めないために、作業の「ムダ」をなくす努力をしています。ムダな動きを省いて効率よく動いていれば、他の作業に時間をかけられるので、現場の皆さんにもムダを意識してほしいと思っています。
例えば盛り付けの場合、主菜を全部盛り付けたら副菜の盛り付けに回るという流れをやればスムーズだと思うんです。その中でムダな動作を加えると、流れが止まってしまいます。
正しい時間に正しい内容のお食事を提供するために、各々が流れをスムーズにする行動を取るべきだと思います。それでも、スピードが速い人もいれば遅い人もいるので、全員がやりやすい方法を皆で話し合いながら模索しています。
――浦山さんが現場力を実践していくにあたり大切にしていることを教えてください。
僕が今いる特別養護老人ホームの現場には、現在入社1年目、2年目の栄養士がいます。今回は2人に現場力を身近に感じてもらいたくて、身近なエプロンを使って考え方のヒントを提示したいという想いもありました。
現場力は、今回のエプロンのような小さな改善を積み重ねることだと思います。課題の悪い点ばかり見るのではなく、より良くする方法を考える前向きなものなので、これからも大切にしていきたいですね。