現場力×学校給食

コミュニケーションが活性化!現場のチームワークを高めた洗浄作業の役割の見直し

現場力作成者:葉隠勇進株式会社 名古屋市内にある学校給食現場 中村(なかむら)有希(ゆうき)さん

ソシオークグループの「現場力」とは
「現場力」とは、フードサービスや子育て支援、運行管理・移動サービスなど現場ではたらくソシオークグループの社員が自ら課題や改善点を見つけ、知恵と工夫によりチームで改善を重ねていく取り組みです。自ら考え実践するナレッジワーカーとしての誇りの醸成や、個人の持続的成長につながるとともに、各現場の意欲向上や組織の活性化にもつながっています。

中村さんが責任者として働く給食現場では、洗浄時の役割分担を細かく決めていたことで、作業が型にはまってしまい、臨機応変に動けないこと課題に感じていました。そこで、役割分担の見直しを行い、柔軟に動けるように改善。この取り組みによって、作業終了時間が1時間も早くなったといいます。中村さんに工夫したことなどお話を伺いました。


――中村さんが勤務されている現場で、感じていた課題を教えてください。

 私は今の現場に昨年の9月から勤めています。働き始めると課題に感じることがいくつかあり、そのうちの一つが洗浄時の役割分担でした。

 洗浄時の役割は最初10個くらいあったんです。食器を洗う人、食缶の残食をホースで流す人、帽子やユニフォームを洗うために洗濯機を回す人、給食を運ぶワゴンを各階にリフトで上げる人などです。

 細かく役割分担をする良さもあると思うのですが、役割が決まっていることで作業が型にはまってしまい、自分の役割以外のことへは臨機応変に動きづらいことは課題だと思っていました。

当初の洗浄時役割分担

――どのように改善していったのでしょうか。

 まずは、役割分担の見直しをしたい理由を伝えました。決められた役割だけに集中していると、「イレギュラーなことが起きたときに誰がどう対応していくのか」「自分の作業以外の時間は何をするのか」などを話して考えてもらいました。伝えていくうちに「それ、私も思っていました!」と理解を示してくれる人が増えてきたんです。今まで考えていても口に出せない人もいたんですね。

 そこで、柔軟に動いてもらえるように少しずつ決まった役割を減らしていきました。はじめのうちは、正社員がパートナー社員に声掛けして指示を出し、皆さんがその時々に必要な行動ができるようフォローするようにしました。

――改善に取り組んだことで変化はありましたか。

 お互いのコミュニケーションで補い合い、自主的に役割を見つけて動けるようになったことで、役割を細かく決めていたときよりも作業終了時間が1時間も早くなったんです!10個ほどあった役割も、今では給食後の食缶やワゴンを受け取りに行く割り振りだけになりました。

現在の役割分担。はじめと比べてスッキリ!

――中村さんが勤務されている現場ではレポートが継続的に提出されているそうですね。他の社員から現場力を吸い上げるために意識していることは何でしょうか。

 自分では当たり前と思っていても、他の人からしたらやりにくい、分かりにくいことがありますよね。自分が課題に思っていることがあるときは「私はこう思うけど、どう思う?」ってみんなに意見を聞いています。すると、結構案が出てくるんです。勝手にやるよりも社員同士で話し合った方がみんなも協力してくれるし、取り組みも浸透しますよね。だからこそ、一緒にやるというのを大切にしています。

 また、新しく入ってきた社員には積極的に声をかけるように心がけています。そうすると私が見えていないことによく気付いているので驚かされます。それに、意見を聞かれるうちにだんだんと責任感が強くなるのか、頼りにされて嬉しいという表情も見られるようになってくるんです。最近は「こう思うんですけど」と提案されることも増えてきました。コミュニケーションを大切にしていくと現場力を吸い上げやすくなるのかなという気はしています。

――中村さんが現場力に取り組んでいく際に、大切にしていることを教えてください。

 意見を出してくれたときに、まずは1回受け止めて認めることです。時には実行できないアイデアもあります。そんなときは、なぜできないのかをちゃんと理由付けて相手が分かるように説明することを大切にしています。言い方一つでモチベーションってすごい変わってしまいますよね。なので、実行できないときこそ言い方をよく考えて伝えています。

 それから、「ありがとう」の言葉はちょっとしたことでも言うように心がけています。感謝の気持ちを伝えるとみんな気持ちよく仕事をしてくれるんです。実際に助けてもらっていることが多いんですよね。意見に耳を傾けることと「ありがとう」を伝えることは日頃から大事にしています。